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米スターバックス、過剰な出店攻勢と値上げで成長が鈍化

2018年2月6日(火)09時24分

2月2日、米コーヒーチェーン大手のスターバックスの米国市場における成長鈍化は、過剰な出店と高過ぎる価格が原因だとみられる。2012年、ロンドンの同社店舗で撮影(2018年 ロイター/Andrew Winning)

米コーヒーチェーン大手のスターバックス(スタバ)の米国市場における成長鈍化は、過剰な出店と高過ぎる価格が原因だ──。アナリストの意見はこうした形に収れんしつつある。

スタバの米国内店舗数は昨年末時点で1万4163店と5年前より25%強増え、マクドナルドより127店も多くなっている。一方で昨年10─12月期の米州既存店売上高伸び率は2%と、アナリスト予想に届かなかった。2年前の伸び率は9%だった。

スタバは米国の事業伸び悩みの理由として、客足の低調さやポイント還元プログラム変更の影響などいくつも挙げているが、店舗同士の競合が問題だとはみなしていない。

2日には新店舗の業績は好調で、自社だけでなく近隣のすべてのコーヒー店の事業拡大をもたらしていると強調した。

しかしバーンスタインのアナリスト、サラ・セナトア氏は、飲食店業界動向に関する最近の分析を踏まえ、「スタバが成長過程でより成熟した段階に達しようという局面で店舗数を伸ばし過ぎていることが(米国市場における苦境の)根本原因だ」と指摘した。

クオ・バディス・キャピタルのジョン・ゾリディス社長も「スタバは新規出店によって問題を生み出している」と主張。クレディ・スイスのアナリスト、ジェーソン・ウェスト氏は、スタバが年間約700店を最近開いたことで競争が激化し、成長再加速の能力を阻害しているとの見方を示した。

店舗数の多さだけが問題ではない。ゾリディス氏は「スタバがあまりにも価格を上げ過ぎているとわれわれは考えている」と述べた。

スタバによると、年間の値上げ率は平均1─2%で、ポイント還元プログラムを通じて割引サービスも提供している。

ただマキシム・グループのアナリスト、スティーブン・アンダーソン氏は、マクドナルドが過去2年間コーヒー価格をほぼ据え置き、ダンキン・ドーナツの値上げ率は年間約1%なのに対して、スタバは毎年およそ3.5%価格を上げていると分析。ライバルがスタバの「ライトユーザー」を取り込みつつあるかもしれないと付け加えた。

[2日 ロイター]


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