最新記事

金融

ここでもAIが人間を駆逐? 商品先物取引市場、人工知能が主役に

2018年2月15日(木)12時14分

2月12日、コモディティー市場はコンピューターを駆使したアルゴリズム取引や超高速取引(FHT)が急速に広がり、人手を介する従来型ヘッジファンドは大量のデータ処理で不利な立場に立たされ、次々と閉鎖に追い込まれている。コートジボワールで昨年4月撮影(2018年 ロイター/Luc Gnago)

コモディティー(商品先物取引)市場はコンピューターを駆使したアルゴリズム取引や超高速取引(FHT)が急速に広がり、人手を介する従来型ヘッジファンドは大量のデータ処理で不利な立場に立たされ、次々と閉鎖に追い込まれている。

ココア取引で富を築き、スパイ映画「007」の悪玉「ゴールドフィンガー」になぞらえて「チョコフィンガー」の異名を取ったアンソニー・ウォード氏は昨年末、ココアとコーヒーに投資するヘッジファンド「CC+」を閉鎖した。コンピューターによる取引が拡大し続けた結果、相場に歪みが生じ、投資家のみならずコモディティーに依存するさまざまな企業にとっても先を読むのが難しくなったというのが理由だ。

ウォード氏は2016年1月のココア相場について、天候要因でコートジボワールとガーナの収穫が落ち込んで上昇すると予測し、いずれも収穫量は予想通り減少した。しかし相場は下落し、同氏のファンドは損切りを余儀なくされた。

ウォード氏はコンピューターを駆使したファンドが中国の経済指標に反応して売りを出し、ファンダメンタルズと無関係な相場変動を引き起こしたとみている。

同氏はコンピューターを使った取引について「あまりにも巨大で速くて、影響力が大きい。ファンダメンタルズ(基礎的諸条件)を全く無視している」と話す。

1月末にはスティーブン・ジャミソン氏がコモディティー・ヘッジファンド「ジャミソン・キャピタル・パートナーズ」を閉鎖。同氏は投資家に対して、機械学習や人工知能(AI)の普及で短期的な取引機会が失われ、長期的にみるとコモディティー取引で利益を上げるのは難しいと説明した。

昨年は著名石油トレーダーのアンドルー・ホール氏も旗艦ファンドを閉鎖。コンピューターを使った自動取引の急速な普及を受けて、投資家は続々とコモディティーファンドから逃げ出している。

米商品先物取引委員会(CFTC)の昨年の調査によると、先物取引所最大手CMEグループではコンピューターを使った取引が占める比率は農産物で49%、エネルギーで58%に達した。

また調査会社ヘッジファンド・リサーチのまとめによると、昨年のヘッジファンド全体の平均リターンは8.64%だったが、コモディティー・ヘッジファンドは0.43%にとどまった。

ウォード氏によると、コンピューターによる自動取引によって生じる価格の歪み、つまり基礎的諸条件からみて正当と考えられる水準からの乖離は、以前は10─15%だったが、今では25─30%に拡大した。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

英首相、辞任要求にも続投表明 任命問題で政権基盤揺

ビジネス

NEC委員長、雇用の伸び鈍化見込む 人口減と生産性

ワールド

中国BYD、米政府に関税払い戻し求め提訴 昨年4月

ワールド

EU、第三国の港も対象に 対ロ制裁20弾=提案文書
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 2
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...周囲を気にしない「迷惑行為」が撮影される
  • 3
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業績が良くても人気が伸びないエンタメ株の事情とは
  • 4
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 5
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    「二度と見せるな」と大炎上...女性の「密着レギンス…
  • 8
    韓国映画『しあわせな選択』 ニューズウィーク日本…
  • 9
    【銘柄】なぜ?「サイゼリヤ」の株価が上場来高値...…
  • 10
    変わる「JBIC」...2つの「欧州ファンド」で、日本の…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 3
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予防のために、絶対にしてはいけないこととは?
  • 4
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 5
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 6
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 7
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 8
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 9
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 10
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 7
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 8
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 10
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中