最新記事

オリンピック

平昌五輪、安倍首相が出席の可能性も 米ペンス副大統領参加で変数増える

2018年1月15日(月)15時08分

1月15日、2月9日から韓国・平昌で開かれる冬季五輪にペンス米副大統領(写真)が出席することになり、日本政府は、どのクラスが参加するべきか慎重に判断している。写真はアフガニスタンのバグラム空軍基地で昨年12月撮影(2018年 ロイター)

2月9日から韓国・平昌で開かれる冬季五輪にペンス米副大統領が出席することになり、日本政府は、どのクラスが参加するべきか慎重に判断している。すでに鈴木俊一五輪担当相と林芳正文科相は出席する方向だが、安倍晋三首相自らが開会式などに出席するかどうか現時点で回答を保留している。平昌五輪を機に活発な首脳外交が展開されることになるのか、日本政府はその可能性をじっくりと見極めようとしている。

安倍首相は、韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領から平昌五輪に招待を受けている。しかし文政権は、2015年12月の日韓合意を巡り、合意自体の見直しは求めないものの日本側に自発的な対応を求めており「首脳クラスが訪問できる状況ではない」(与党関係者)との声が出ている。

ただ、平昌五輪を契機として朝鮮半島の南北融和ムードが進み、ペンス副大統領の出席を米国が決断した。

複数の政府・与党関係者によると、日本政府への事前通知は「公式発表の数時間前だった」(政府高官)という。

この米国の対応により、主要国が首脳クラスを派遣する可能性も出てきたと一部の日本政府関係者はみている。

一部報道ではマクロン仏大統領も出席に前向きとされ、日本政府内では、五輪担当相と文科相だけでなく「プラスアルファ(の閣僚派遣)をどうするか議論している」(政府・与党関係者)という。

ある政府関係者は「平昌は東京から日帰り可能な距離にあり、安倍首相が開会式のみ出席する選択肢もある」と話す。

韓国の対日強硬姿勢も「あくまで韓国国内向け」(政府高官)との見方も日本政府内で聞かれ、さまざまな選択肢の可能性が検討されるもようだ。

一方、平昌五輪をきっかけに朝鮮半島情勢が緊張緩和に向かうのか、それとも五輪後に米韓合同軍事演習が再開され再び緊張が高まるのか、金融市場では見方が分かれている。

米国は北朝鮮の核保有を前提に外交交渉を始めることはないとみられているが、トランプ大統領が最近になって「南北対話中は軍事行動はない」、「私は金正恩委員長と良好な関係を築いている」などのメッセージを発信。にわかに融和ムードが広がっている。

他方、日本政府は「米国が対北朝鮮で圧力を強め続ける姿勢に変わりはない」(政府高官)との見方を維持しており、オリンピック・パラリンピック期間中の実施が延期された米韓合同軍事演習についても「3月のパラリンピック終了後に実施され、再び緊張が高まる」(与党関係者)との見方が主流だ。

南北対話が米朝対話につながるのかどうか、日本政府も最大の関心をもって事態の推移を注視していくとみられる。

(竹本能文 編集:田巻一彦)

[東京 15日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


ニューズウィーク日本版のおすすめ記事をLINEでチェック!

linecampaign.png

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

メキシコ海軍の訓練船、ブルックリン橋に衝突 2人死

ワールド

米最高裁、敵性外国人法での不法移民送還差し止め継続

ワールド

イスラエルとハマスが停戦交渉再開、ガザでは72時間

ワールド

トランプ米大統領、19日にロシア・ウクライナ首脳と
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2029年 火星の旅
特集:2029年 火星の旅
2025年5月20日号(5/13発売)

トランプが「2029年の火星に到着」を宣言。アメリカが「赤い惑星」に自給自足型の都市を築く日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    ワニの囲いに侵入した男性...「猛攻」を受け「絶叫」する映像が拡散
  • 4
    「運動音痴の夫」を笑う面白動画のはずが...映像内に…
  • 5
    MEGUMIが私財を投じて国際イベントを主催した訳...「…
  • 6
    配達先の玄関で排泄、女ドライバーがクビに...炎上・…
  • 7
    米フーターズ破綻の陰で──「見られること」を仕事に…
  • 8
    大手ブランドが私たちを「プラスチック中毒」にした…
  • 9
    メーガン妃とヘンリー王子の「自撮り写真」が話題に.…
  • 10
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    ワニの囲いに侵入した男性...「猛攻」を受け「絶叫」する映像が拡散
  • 4
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映…
  • 5
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 6
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 7
    あなたの下駄箱にも? 「高額転売」されている「一見…
  • 8
    トランプ「薬価引き下げ」大統領令でも、なぜか製薬…
  • 9
    ヤクザ専門ライターが50代でピアノを始めた結果...習…
  • 10
    宇宙の「禁断領域」で奇跡的に生き残った「極寒惑星…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山…
  • 6
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 8
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 9
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 10
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中