最新記事

音楽

約3億回再生のMVでトランプ政権に抵抗、20歳の米人気歌手カミラ・カベロ──音楽と政治は無関係ではない

2017年12月7日(木)15時30分
志葉玲(フリージャーナリスト)

「ビルボード ウィメン イン ミュージック 2017」で歌うカミラ・カベロ(11月30日、米ロサンゼルス) Mario Anzuoni-REUTERS

政治を語ることがタブー視されがちな日本の風潮を反映してか、日本の芸能人、特にメジャーなアイドルが政治的な発言をすることは、ほとんどない。他方、米国では、若手も含め人気アーティストらは自らの考えを表明することに積極的だ。移民や難民、イスラム教徒を排斥しようとするドナルド・トランプ大統領に対し、多くの米国のアーティストらが懸念を表明している。その中でも、象徴的な存在と言えるのが、若手人気シンガーソングライター、カミラ・カベロだ。主張がなく無難なものばかりな日本の音楽業界を「当たり前のこと」としている人々にも、カミラの立ち振る舞いに是非、注目してほしい。

トランプ政権に"抵抗"、カミラの明確な意思表示

ガールズユニット「フィフス・ハーモニー」のメンバーであったカミラは、今年に入りソロ活動を開始。同8月にリリースしたシングル「ハバナ」は、イギリスなど世界各国でヒットチャート1位を総なめ、全米でも2位につけ1位獲得も目前であると、大ヒット中。先月末、米国で最も権威のある音楽チャート「ビルボード」が主催、女性アーティストを奨励する「ウィメン・イン・ミュージック2017」では、「Billboard's Breakthrough Artist(最も活躍したアーティスト賞)」を受賞した。

可憐なルックスも注目されるカミラだが「かわいいだけのアイドル」では決してなく、自身の信念を臆することなく発信している。中米キューバの出身であり、6歳の時に母親に連れられてメキシコから米国に渡ってきた移民であるカミラは、自身の出自を隠さず、むしろ誇りに思っていることを度々表明している。トランプ政権の移民や難民、イスラム教徒への弾圧を繰り返し批判し、デモにも参加。さらには、人気DJのゼッドが呼びかけた人権団体「アメリカ自由人権協会(ACLU)」への支援コンサートでも、その歌声を披露した(歌声は01:00から)。

ACLUとは、米国最大の人権団体で、今年1月にトランプ政権がイラクやシリアなどイスラム圏7ヵ国からの米国への入国を、ビザや永住権を持ち、米国内に家庭や職場のある人々まで禁止する大統領令を発令した際に、ACLUはこの大統領令の違法性を連邦裁判所に申し立て。強制送還を一時中止させる裁判所命令を勝ち取るなど、一貫してトランプ政権による人権侵害に抵抗、ノーベル平和賞の有力候補として推薦された団体なのだ。そのACLUを支援するコンサートで、カミラは「RESIST(抵抗)」と大きく書かれたTシャツを着て熱唱。その姿はデイリーメール紙などの各メディアで報じられた。

約3億回再生のMVに込められたメッセージ

今年10月24日に公開され、現在までにYouTubeで3億回以上再生されている「ハバナ」のミュージックビデオにも、カミラのメッセージが込められている。その内容は、短編ドラマのような構成で、家でテレビばかり観ている引きこもりの女の子が、家族に促され外出、映画を観に行き、その帰りでイケメンに出会うというものだが、最後に「この動画をドリーマー達に捧げます」との、字幕メッセージが表示される。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア・ウクライナ復活祭停戦、発効数時間で双方が違

ワールド

米イラン協議決裂、核・ホルムズ海峡で溝埋まらず 停

ワールド

中国、台湾向け観光規制緩和など新措置 野党党首訪中

ビジネス

円高につながる金融政策、「一つの選択肢」=赤沢経産
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康を守るはずのサプリが癌細胞を助ける? 思いがけない副作用に研究者が警鐘
  • 2
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦によって中国が「最大の勝者」となる理由
  • 3
    新しいアメリカンドリームは「国外移住」...5人に1人が海外を希望する時代
  • 4
    中国が恐れる「経済ドミノ」
  • 5
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 6
    【銘柄】イラン情勢で「任天堂」が急落 不確実な相…
  • 7
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 8
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 9
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国…
  • 10
    革命国家イラン、世襲への転落が招く「静かな崩壊」
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 4
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 7
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 8
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 9
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国…
  • 10
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中