最新記事

性的魅力

体臭とセックスアピールの意外な関係

2017年11月9日(木)18時30分
メリッサ・マシューズ

カップルの相性についてはまだまだ謎が多い Shironosov/iStockphoto

<血液中のタンパク質が男女の好みに与える影響は>

匂いとセックスアピールに関係があることは、多くの研究で証明されている。だが、正確なつながりは謎だ。体臭が関係しているものの、男性や女性がどんな匂いの成分に引かれるのかは科学的に分かっていない。

これに最新の手掛かりを与えたのが、スイスのベルン大学の研究者チームだ。彼らは、血液中のヒト白血球抗原(HLA)と呼ばれるタンパク質に注目。HLAは、体内に侵入した異物を免疫細胞が見分ける手助けをするもの。さらに私たちの体臭に影響し、遺伝子の違いも示す。

16年の研究で、セックスの欲求は遺伝子の型が違う人同士で高まることが分かっている。それは当然だろう。自分と遺伝子的に違う相手を選ぶことは、より丈夫な子孫を残す可能性を高め、生存競争で有利だからだ。

これまでのHLAと体臭の好みについての研究といえば、女性に焦点を当てたものがほとんど。女性は自分とHLAの型が違う男性の匂いを好むとされる。一方、ベルン大学の研究者らは、HLAが男性の好みに与える影響を調査した。

42人の女性に脇の下に綿パッドを当てて寝てもらい、体臭サンプルを採取(他人と同じベッドで寝たりしないよう依頼した)。そして94人の男性にそれぞれ、HLA型が自分と似ている女性4人と似ていない4人のパッドの匂いを嗅いで、香りの強さ、魅力度、好感度で順位付けしてもらった。

すると、男性が魅力的と感じた香りはHLAと全く関係がないことが判明した。これはどういうことか? 恐らく男性にとって、遺伝子的に異なる女性を見つけることはあまり重要ではないのだろう。

論文共著者の心理学者ヤネク・ロブマイアーは、今回の発見は過去のものより確実性が高いと考えている。これまでと違い、排卵直前の女性の体臭を集めているからだ。最も妊娠しやすい排卵期の体臭を男性が好むことはある程度立証されている。

男性について言えば、生殖能力の高さを示す女性の「若さ」や「健康的な体形」に引かれることが分かっていると、カリフォルニア大学サンタバーバラ校のジェームズ・ローニー教授(心理学)は言う。そんな目に見えて分かりやすいセックスアピールに比べ、遺伝子レベルの謎の解明はまだ先になりそうだ。

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!
 ご登録(無料)はこちらから=>>

[2017年11月 7日号掲載]

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ベネズエラ原油、米に無期限供給へ 制裁も緩和か=報

ワールド

米、ロシア船籍タンカー拿捕 ベネズエラ原油「封鎖」

ワールド

米、ベネズエラ産原油の供給再開模索 トランプ氏9日

ビジネス

米ADP民間雇用、12月は4.1万人増 予想下回る
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじゃいる」──トランプの介入口実にデンマーク反発
  • 4
    日本も他人事じゃない? デジタル先進国デンマークが…
  • 5
    マドゥロ拘束作戦で暗躍した偵察機「RQ-170」...米空…
  • 6
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 7
    トランプがベネズエラで大幅に書き換えた「モンロー…
  • 8
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び…
  • 9
    衛星画像で見る「消し炭」の軍事施設...ベネズエラで…
  • 10
    「悪夢だ...」バリ島のホテルのトイレで「まさかの事…
  • 1
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 4
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 5
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 9
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 10
    感じのいい人が「寒いですね」にチョイ足ししている…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中