最新記事

アメリカ政治

トランプに代わってクリントンが大統領になる道はまだある

2017年10月17日(火)15時00分
ジュリア・グラム

クリントンの大統領選敗北がロシアとトランプのせいなら取り返せる? Rick Wilking-REUTERS

<クリントンがこれから大統領になる可能性はわずかだが、民主党支持者たちは再び希望を持ち始めている>

ドナルド・トランプが米大統領選でヒラリー・クリントンを破ってからほぼ1年が経った。それでも、可能性としてはごくごくわずかとはいえ、これからクリントン大統領が誕生するという前代未聞の事態への道筋は、まだ残されている。

そしてその可能性は、クリントンを諦めきれない民主党支持者たちに、再び希望を与えている。

ハーバード大学の法学者ローレンス・レッシグはオンラインメディア「ミディアム」に寄稿し、クリントンが大統領になる道筋としての「もしも」シナリオを提案している。その通りに事が運べば、下院議長のポール・ライアン(共和党)からクリントンに、ホワイトハウスのカギが渡ることになるだろう(下院議長の大統領継承順位は、副大統領に次ぐ第2位)。

憲法学の著名な専門家であるレッシグが描いた「もしも」シナリオは次の通りだ。

その1:もし昨年の米大統領選でトランプがロシアと共謀していたことが決定的となれば、トランプは辞任を余儀なくされるか弾劾される。

その2:もしトランプが辞めれば、マイク・ペンス副大統領が大統領に就任する。

その3:もしロシアの便宜を受けた点ではペンスもトランプと同罪、ということになれば、ペンスも大統領を辞任する。

その4:もしペンスが、副大統領を指名する前に大統領を辞任すれば、大統領継承順位第2位のライアン下院議長が大統領になる。

誰かが正しいことをするべき

その5:もしライアン大統領が正しいことをしようと思えば、選挙結果を正しい形に戻すため、クリントンを副大統領に指名して自分は辞任する。

これで、クリントンが大統領に繰り上がる。

「この最後の答えは不可避に思える。ライアンはクリントンを大統領に就任させるべきだ」と、レッシグは道義的責任を強調する。「ライアンが正しく行動すれば、南北戦争の端緒となったサムター要塞の戦い以来、史上もっとも異例の事態となる。だが今回は国を分断するのではなく、団結させる出来事となるだろう」

2015年に短期間ながら民主党の大統領選候補者指名争いに出馬した経験を持つレッシグはさらに、クリントンがもし大統領に就任したら、政治的な善意から、ライアンを副大統領に指名するだろうと述べている。

官僚が作る長いブリーフィング資料も問題なく読みこなせるクリントンが大統領になれば、アメリカが核攻撃にさらされずに済む方法も考え出してくれるだろう。

クリントンのことを考えているのはレッシグだけではない。米CBSの報道番組に出演したクリントンは、大統領選に再出馬する気持ちはあるかと聞かれて、「立候補するのはもうたくさん」と述べている。

だがトランプがロシア疑惑で大統領の座を追われることになるなら、改めて選挙に出なくてもクリントンにはチャンスがある。その時がくるのを待とう。

(翻訳:ガリレオ)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ、ロシアの攻撃で5人死亡 モルドバの送電

ワールド

ロシア、カスピ海へのイラン紛争波及を警戒=大統領府

ワールド

欧米の関係断絶、ウクライナ侵攻に匹敵 元に戻らず=

ビジネス

ユーロ圏総合PMI、3月速報は成長停滞 中東紛争で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店員も「なすすべなし」の暴走モード
  • 2
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 3
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」した──イスラエル首相
  • 4
    【クイズ】2年連続で「世界幸福度ランキング」で最下…
  • 5
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 6
    「胸元を強調しすぎ...」 米セレブ、「目のやり場に…
  • 7
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 8
    スウェーデン次期女王ヴィクトリア皇太子、陸軍訓練…
  • 9
    「買ったら高いじゃん?」アカデミー賞会場のゴミ箱…
  • 10
    イラン戦争、トランプを泥沼に引きずり込む「5つの罠…
  • 1
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 2
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 6
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 9
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 10
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中