最新記事

中国社会

中国ミレ二アル世代にまん延する自虐的「喪の文化」

2017年9月12日(火)09時09分

 9月5日、将来に大きな期待を抱いていた中国の相当な数の若者が、希望を失い、ソーシャルメディア上で「喪」と呼ばれる態度を示している。写真は、中国のカフェチェーン「喪茶」の北京にある店舗で写真を撮る客。8月撮影(2017年 ロイター/Thomas Peter)

中国の「ミレニアル世代」にとって、今後のキャリアや結婚についての見通しは暗い。彼らは、「何も達成できないブラックティー」、「元彼(女)の方がいい生活をしているフルーツティー」など奇妙な名前のお茶を、苦い思いを抱きつつ啜っている。

さまざまな種類のお茶を提供するカフェチェーン「喪茶」のメニューは冗談半分だが、そこに反映されている感情は深刻である。将来に大きな期待を抱いていた中国の相当な数の若者が、希望を失い、ソーシャルメディア上で「喪」と呼ばれる態度を示している。「葬式」を意味する漢字に由来する、意気消沈を示す言葉だ。

多くの場合、皮肉に満ちた敗北主義を楽しむ「喪」の文化は、インターネット上の著名人や、音楽や一部の人気モバイルゲーム、テレビ番組、悲しい表情の絵文字や悲観的なスローガンによって人気に拍車がかかっている。

数年前と比べて好調とは言いがたい経済において、この文化は、好条件の就職を巡る苛酷な競争に対する反動と言える。中国では以前から住宅の所有がほぼ結婚の必要条件のように思われているが、集合住宅の価格が急騰するなかで、主要都市では住宅がますます購入しにくくなっている。

「今日は社会主義のために戦いたいと思っていたけど、あまりに寒いのでベッドに寝転がって携帯電話をいじっている」

「喪」の文化を代表するネット著名人の1人であるZhao Zengliangさん(27)は、ある日の投稿でこう書いた。また別の投稿では、「明日起きたら、引退の日だったらいいのに」と書いている。

だが、こうした皮肉に満ちたユーモアは、この国を支配する中国共産党には通じない。

共産党機関紙の人民日報は8月、喪茶を「精神的な麻薬」を売っているとして非難。論説のなかで、「喪」の文化は「極端で悲観的かつ希望のない態度であり、憂慮と議論に値する」と表現した。

「立ち上がり、勇気を出そう。喪茶を飲むことを拒否し、正しい道を歩み、今日的な闘争心を持って生きよう」と人民日報は呼びかけている。

本記事について、中国国務院新聞弁公室にコメントを求めたが、回答は得られなかった。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ミネソタ州に兵士1500人派遣も、国防総省が準備命

ワールド

EUとメルコスルがFTAに署名、25年間にわたる交

ワールド

トランプ氏、各国に10億ドル拠出要求 新国際機関構

ワールド

米政権、ベネズエラ内相と接触 マドゥロ氏拘束前から
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向」語る中、途方に暮れる個人旅行者たち
  • 2
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰に地政学リスク、その圧倒的な強みとは?
  • 3
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 4
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 5
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で…
  • 6
    DNAが「全て」ではなかった...親の「後天的な特徴」…
  • 7
    鉛筆やフォークを持てない、1人でトイレにも行けない…
  • 8
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 9
    シャーロット英王女、「カリスマ的な貫禄」を見せつ…
  • 10
    AIがついに人類に「牙をむいた」...中国系組織の「サ…
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 4
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 5
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 6
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 7
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 8
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 9
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 10
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中