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失踪中のドイツ人少女 ISISメンバーとしてイラクで発見

2017年7月27日(木)14時30分
モーゲンスタン陽子

失踪に先立ち、少女はイスラム厳格派と呼ばれるサラフィー主義に傾倒し改宗、学校に頭部を覆うベールを被って行ったり、ラマダンの断食をしたりしたという。両親はそんな娘に理解を示し、コーランを贈ったりもしたが、フェイスブック上でジハーディスト(聖戦主義者)とコンタクトを取っていたことには気づかなかったようだ。

ドイツ当局は昨年9月に少女がモスルにいる可能性を家族に伝えていたが、それ以上の詳しい情報はなかった。ARDによると、今年の1月に少女本人がモスルから故郷の姉に連絡を取ったようだが、その後はまた音信不通になった。

イラクで起訴の可能性も

独連邦情報局によると、ドイツから930人以上がISIS戦闘員になるためにイラクやシリアに渡り、その20%が若い女性や少女だという。今回保護されているフランス、モロッコ、カナダなどさまざまな国籍の26人の女性たちのなかにもさらに3人のドイツ人がおり、うちひとりは身元が確認されている。女性たちは現在バグダードに移送され、アメリカ軍の協力のもと手当てを受けている。

少女がすぐにドイツに送還されるかは未定だ。先述のイラク人ジャーナリストのムサウィがインタビューの一部について語ったARDのビデオで、ドレスデン検察のローレンツ・ハーゼが、少女がイラクで裁判にかけられる可能性、外国人ということで追放される可能性、そしてドイツで失踪中の未成年ということでドイツに委ねられる可能性をあげている。

少女がどのように組織の活動に関わったかがわからない現状ではなんとも言えないが、違法入国としてなら3年半服役させられる可能性はあるようだ。一方で、死刑を宣告される可能性を指摘する報道も出ている。

【参考記事】「ジハードって楽しそうだ」ISIS崩壊後、洗脳された子供たちは...
【参考記事】モスル奪還作戦、写真で見るISISとの戦いの恐怖

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