最新記事

アメリカ政治

まるで踏み絵!閣僚全員がトランプを礼賛 米史上最も醜悪な閣議 

2017年6月13日(火)18時50分
アレクサンダー・ナザリアン

ホワイトハウスでトランプを囲んでいるのはおべっか使いばかりなのか? Jonathan Ernst -REUTERS

<人に称賛されることを必要としているアメリカ大統領は、「思ってもない褒め言葉」でもご満悦。驚くのは、テレビカメラも回る前で、閣僚全員が真顔で褒めきったことだ>

昨日、ホワイトハウスで開かれたトランプ政権の初閣議では、テーブルを囲んだ閣僚たちが一人ずつ、アメリカを再び偉大にすると豪語する暴君ドナルド・トランプ大統領を、まるで踏み絵のように、居並ぶ記者やカメラの前で、べた褒めさせられる異様なものだった。まるで旧ソ連のスターリン時代だ。なにより驚きだったのは、全員が真顔でやり切ったこと。その光景がどれほど異常か、当人たちが気づかなかったはずはないのだが。

(トランプ政権の初閣議。政権はこれまで歴史的な成功を収めている、とトランプ)


終始ご満悦だったのはトランプ一人。トランプは、閣議の冒頭を自分が大好きなこと──自画自賛──から始めた。「大恐慌への対処に追われたフランクリン・ルーズベルト大統領など少数の例外を除き、かつてこれほど多くの法案を通過させ、多くのことを成し遂げた大統領はいなかった」と、トランプは切り出した。その後一人ずつ指名された閣僚は、トランプを褒めるしかなくなった。

(米閣僚全員が一人ひとりトランプを礼讃する模様を映した11分の動画)


忠誠心が好きなトランプ

政治部の記者や専門家がすぐさま指摘した通り、トランプの発言は事実ではない。それにもかかわらず閣僚が次々とトランプを称賛した。政権発足から半年も経たないのに、まるで任期終了直前に成果をねぎらい合う最後の閣議のようだった。いくらメディア向けの見世物だといっても、現代アメリカ史で、今回ほど大統領へのおべっかで埋めつくされた閣議は例がない。

米CNNのコメンテーター、クリス・シリザは「史上最も醜悪な閣議」と酷評し、そのコメントはすぐさまソーシャルメディアに拡散した。知っての通り、トランプは忠誠心が大好きだ。だが、閣僚が一人残らずメディアの前で忠誠を誓う様子には、心底あきれかえった。スターリン主義を風刺した喜劇でも見ているようだ。

【参考記事】米政権幹部に襲いかかる、トランプの執拗な怒りの病

ただしこれは喜劇でなく、現在のアメリカ政治のリーダーシップそのものだ。

トランプ礼賛の口火を切ったのは、マイク・ペンス米副大統領だ。トランプと一緒に仕事ができることは「人生最大の名誉」だと言った。他の多くの閣僚もトランプに奉仕することの「名誉」や「誇り」を連発した。

【参考記事】「ペンス大統領」の誕生まであと199日?

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

FBI、加州へのイラン無人機攻撃を警告 トランプ氏

ビジネス

テスラの中国製EV販売、2月は91%増 増加は4カ

ワールド

イラン軍事作戦によるガソリン高は「一時的」、トラン

ビジネス

日経平均は反落で寄り付く、原油価格の上昇が重し 一
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 2
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃に支持が広がるのか
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 5
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 6
    「邪悪な魔女」はアメリカの歴史そのもの...歌と魔法…
  • 7
    イランがドバイ国際空港にドローン攻撃...爆発の瞬間…
  • 8
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 9
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 10
    ホルムズ封鎖で中国動く、イランと直接協議へ
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 5
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 6
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 7
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 8
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示…
  • 9
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だっ…
  • 10
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中