最新記事

インターネット

気になるCMを連発、旅行サイト「トリバゴ」の意外な正体

2017年6月22日(木)12時46分
瀧口範子(ジャーナリスト)※東洋経済オンラインより転載

トリバゴの長所を挙げれば、サイトのインターフェースが使いやすくデザインされていることだろう。メタサーチサイトによっては傘下のサイトごとにウインドーが開いてわかりにくいものがあるが、トリバゴの場合は同一画面に並んでいて比較しやすい。

また、モバイルアプリで、近くのホテルのお得情報が見られたり、当日の投げ売り価格が表示されたりするといった、細かなテクノロジー開発や工夫が見られるのもトリバゴの特徴だ。

売り上げの約87%をCMに投下

そして、執拗ともいえるテレビCMがある。これは日本だけではなく、米国やオーストラリアなどでも展開されているもので、売り上げの87%を広告に費やすというトリバゴの企業戦略の下に行われている。

各国で採用しているのは、大物スターというよりは脇役風の男女の俳優。だが、それなりに味のある人物で、何といっても1日に何度も繰り返し見ているうちに気になる存在になってくるのがミソである。米国やオーストラリアでは、「トリバゴの男」「トリバゴの女」といった呼び名で話題に上る。日本だけでなく、他国でも「気になる」CMとなっているということは、ひとまずこの戦略はうまくいっているのだろう。

(トリバゴのCM。民放で大量出稿されたので目にした読者は多いはずだ)


トリバゴは、実はドイツの会社だ。2005年に、現在は製品担当のマネジングディレクターを務めるロルフ・シュルウムゲンツ氏ら大学の同級生4人によってデュッセルドルフで共同創設され、欧州で人気のサイトになった。

何度かの投資ラウンドを順調に経て、2012年にアメリカの旅行サイトであるエクスペディアが過半数株を買い取って買収。2016年末にナスダックに上場した。2016年12月期の売上高は7億5400万ユーロと前期比1.5倍超に拡大(ただし、営業費用を積極的に投下していることから、前期は4400万ユーロの営業赤字)。いまやサイトには約140万のホテルが掲載されており、世界190カ国でサービスが利用されているという。

だが、現在も1100人以上いる社員の過半数はドイツにおり、欧州のホテル情報に強いなど、欧州拠点の企業という色合いが濃い。目下、本社のあるデュッセルドルフでは2018年の竣工を目指して、3000人を収容できる新たな本社ビルを建設している。

予想とは逆の現象が起きている

今も欧州色の強い会社だが、社内文化は「シリコンバレーをドイツに持ち込んだ企業」といわれるほど、社内ヒエラルキーを極力抑え、フレキシブルな就業時間を実施するなど、ドイツ企業としては新しい存在だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米政権、AI政策で統一的枠組み 州規制の標準化狙う

ワールド

ロシア中銀が利下げ、政策金利15%に 中東情勢巡る

ビジネス

独連銀総裁、ECB利上げの可能性示唆 エネ高騰によ

ワールド

トランプ氏、日中が関与なら「素晴らしい」 ホルムズ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公開...母としての素顔に反響
  • 2
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラリアの「NVES規制」をトヨタが切り抜けられた理由
  • 3
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 4
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 5
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 6
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「嘘でしょ!」空港で「まさかの持ち物」を武器と勘…
  • 9
    将来のアルツハイマー病を予言する「4種の先行疾患」…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 5
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 6
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 9
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 10
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中