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気になるCMを連発、旅行サイト「トリバゴ」の意外な正体

2017年6月22日(木)12時46分
瀧口範子(ジャーナリスト)※東洋経済オンラインより転載

トリバゴでは、複数サイトで提供されているホテル料金を比較できる(同社サイトより)

「あの流暢に日本語を話す金髪美女はいったい誰だ?」――。日本でも盛んにテレビCMを流しているので、「トリバゴ」という名前を聞いたことがある人は多いだろう。印象的なCMを覚えている人も少なくないようで、ネットでもしばしば話題になっている。

CMでは、男女がそれぞれに違う方法を使ってホテルを予約。同じホテルの部屋でも、予約方法によって料金が違うことを訴えている。トリバゴを使えば、最もお得な値段で泊まれます、というのがCMの趣旨だ。

このトリバゴとは、いったいどんな会社なのか。

複数ある旅行サイトの料金を比較

インターネット上には、旅行サイトと呼ばれるサイトがあまたあり、トリバゴもその1つだ。だが、一般的な旅行サイトとトリバゴの違いは、トリバゴが「メタサーチエンジン」と呼ばれるテクノロジーカテゴリーに属することである。

一般的な旅行サイトならば、そのサイトが提携し、把握しているホテルの宿泊プランから、宿泊予定や禁煙ルーム、朝食付きなどの条件に沿ったサーチ(検索)を行い、その結果を表示してくれる。一方、そうした旅行サイトを複数束ね、そこに貯められた在庫データにアクセスして一気にサーチするのが、メタサーチエンジンである。

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流暢な日本語を話す金髪の女性。その正体は、日本で活躍する女優のナタリー・エモンズさんだ

「メタ」とは「上位」という意味。個々の旅行サイトに傘をかけるように存在し、その傘の下にあるサイトの情報を1回のサーチで実行する。トリバゴでは、世界の200以上の旅行サイトがまとめてサーチできるとしている。

こうしたサイトが成り立つ背景には、同じような仕組みに見えても、旅行サイトによって宿泊料が異なるという状況がある。そもそも最近の宿泊料は需要に応じて変動制になっているうえ、サイトとホテルとの提携の強さなどによって基本的な値段が異なる。

これに気づくと、数々の旅行サイトで値段を比較したくなるのだが、メタサーチサイトがあればユーザーは個々のサイトを訪ねる手間なしに、複数のサイトの情報を閲覧でき、その中から最もお得な値段を選べるのである。

少なくとも米国では、トリバゴのようなビジネスモデルは決して新しいものではない。航空券、ホテル、レンターカーなど、さまざまな分野でこの手のメタサーチサイトが何年も前から存在している。カヤック、オービッツ、プライスライン、ホットワイヤー、トリップアドバイザーなどの名前がよく知られており、それぞれに特徴がある。

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