最新記事

日本政治

支持率急降下の安倍首相、3期目に暗雲 7月の都議選が試金石に

2017年6月22日(木)20時51分

市場関係者も警戒感を示す。あかつき証券・投資調査部長の藤井知明氏は「都議選で自民党が現状議席から半減することになれば、安倍政権の不安定化が警戒され、ネガティブ材料になる。政治の安定は投資家にとって、日本株の買い要因となっていることは確か」と話す。

与党は、参院の委員会での審議を求める野党に対し「中間報告」という過去に数度しか使われたことのないやり方で本会議を開き、共謀罪法案を可決・成立させ、直後に国会を閉会。その後の報道各社の世論調査で、安倍首相の支持率は10ポイント超の急落となった。

19日の会見で安倍首相は国民の信頼を取り戻すと約束した。にもかかわらず、野党の閉会中審査の要求に応じず、臨時国会開催の要求も、内閣ははねつける見通し。

加計学園問題では、安倍内閣の萩生田光一官房副長官の関与を示すとされる文書も明らかになり、事態は簡単に終息しそうにない。副長官は「行政をゆがめるような仕事はしていない」としている。

コロンビア大学のゲリー・カーティス名誉教授は「安倍首相とその周辺で、急速にほころびが拡大している。現段階ではまだ安倍首相が3期目も総理を務めるほうに賭けるが、1週間前と比べると、その確率は大きく低下している」との見方を示した。

安倍首相は内閣改造の可能性を示唆したが、改造内閣は支持率回復につながる場合もある一方、閣僚の新たなスキャンダルや失言で逆効果になるリスクもある。

過去の支持率低下を乗り切ってきた安倍首相だが、2018年の自民党総裁選には、石破茂元防衛相、岸田文雄外相などライバルからの挑戦が予想される。

与党内でも意見の分かれる憲法改正を、約束通り2020年に達成するための道のりはなお険しい。

(Linda Sieg 翻訳:宮崎亜巳 編集:田巻一彦)

[東京 22日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

中朝首脳が会談、戦略的な意思疎通を強化

ビジネス

デジタルユーロ、大規模な混乱に備え必要=チポローネ

ビジネス

スウェーデン、食品の付加価値税を半減へ 景気刺激へ

ワールド

アングル:中ロとの連帯示すインド、冷え込むトランプ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 2
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...地球への衝突確率は? 監視と対策は十分か?
  • 3
    「見せびらかし...」ベッカム長男夫妻、家族とのヨットバカンスに不参加も「価格5倍」の豪華ヨットで2日後同じ寄港地に
  • 4
    「よく眠る人が長生き」は本当なのか?...「睡眠障害…
  • 5
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 6
    Z世代の幸福度は、実はとても低い...国際研究が彼ら…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「農産物の輸出額」が多い「…
  • 8
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 9
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 4
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 5
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 8
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 9
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中