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米大統領

トランプもうひとつの危機「憲法違反訴訟」が3件も係争中

2017年6月16日(金)20時21分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

(3)有力弁護士や法学者らの市民団体が提訴

(1)と(2)に先立つ1月下旬、有力弁護士や法学者らで構成する市民団体「ワシントンの責任と倫理のための市民(CREW)」がトランプを提訴していた。所有するホテルなどの事業で外国政府から利益を得ているのが利益相反で、憲法違反に当たるとしている。

大統領就任からすぐのことで、これが利益相反問題に関する最初の訴訟だった。

【参考記事】弁護士グループがトランプ大統領を提訴、外国金脈を暴けるか

スレート誌によれば、CREWの第1の目的は、トランプに自分のビジネス帝国から手を引かせるよう裁判所に命令させること。そして第2の(控えめな)目的が、この訴訟を通じてトランプのビジネス帝国の財務記録や、トランプが選挙戦中からずっと拒み続けている納税申告書の開示を勝ち取ることだ。

4カ月以上が過ぎた今もまだこれらの目的は達成されていないが、提訴の結果、米司法省が6月9日、大統領を擁護する声明を発表する羽目になった。

報酬条項は「大統領が外国に提供するサービスから生じる利益」のみに適用されると、司法省は主張した。つまり、大統領としての公的な活動で外国政府から報酬を得ない限り、憲法違反ではないというわけだ。

トランプが裁判に負ける可能性はあるか

これら3件の「憲法違反」訴訟だが、そもそも原告が勝つ見込みはあるのだろうか。現実には難しいだろう、という声が多い。

報酬条項は大統領には適用されないという指摘は一部の法学者から出ているし、大統領が何を受け取ることができて何を受け取ることができないかの定義は、裁判所ではなく議会に一任されるという解釈もあるという。

最新の民主党議員らの提訴についても、議会はトランプの報酬を認めるかどうかの採決を"することができるのにしていない"だけだと解釈されると、法学者のアンディ・グレウォールがスレート誌に答えている。

しかし、仮に裁判には負けないとしても、トランプが守勢に回り、声明なり情報なりを出す圧力が積み重なっていく可能性はある。ロシア疑惑とのダブルパンチは政権に打撃となるかもしれない。

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