最新記事

香港

年内完成が迫る中国と香港結ぶ橋 強まる本土支配の象徴か

2017年5月22日(月)16時42分

同プロジェクトの香港側を監督する香港運輸局は、一段の遅れやコスト超過が見込まれるかどうかに関する質問に対し、明確に回答しなかったが、年内の完成には自信を示した。

香港、マカオ、本土の3者で最終的な調整が行われていると電子メールで答えた。

ぼやける境界

香港で緊張が高まった時期においても、中国本土と香港の当局者らは、橋の経済的重要性を強調し続けた。香港では2014年、中国政府が完全な民主化を認めず、自治の約束を反故にする本土の介入を懸念した、主に学生を中心とした大規模な抗議活動が起きた。

香港では、本土が包囲網を拡大するなか、この橋によって香港の独立したアイデンティティーが脅かされるとみる人たちもいる。

「香港と中国の境界をあいまいにしようとするある種のネットワークが見て取れる」と、民主派の弁護士Kwok Ka-ki氏は話す。

「これらインフラ計画が全て完成した今後10─15年で、香港は中国の単なる一部になっているだろう。明確な境界が分からなくなってしまうのだから」

また、何十億ドルも投じた本土と香港を結ぶ高速鉄道計画についても、本土の出入国管理施設を香港に設置することを巡り非難の声が上がっている。

返還時に約束された「1国2制度」の下で保たれている香港の自治性を揺るがすとの指摘も聞こえる。

「多くの香港市民が統合を嫌がるとは思わないが、私たちはそれが民主的に行われることを望んでいる」と、高速鉄道計画への反対デモを主導し、現在は議員となったエディ・チュウ氏は言う。

「過去10─15年に行われたあらゆる抗議デモの背景にある核となる考えは民主主義だ。経済発展や都市計画の方向性を市民がコントロールできるかどうかは、民主化運動の延長線上にある」

だが、グレーのつなぎ服に安全ヘルメットをかぶった前述のWei氏は橋による統合を「1橋3制度」だとして称賛する。

「橋は新しい象徴となりつつある」

(James Pomfret記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

[珠江口(中国) 19日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ミネソタ州に兵士1500人派遣も、国防総省が準備命

ワールド

EUとメルコスルがFTAに署名、25年間にわたる交

ワールド

トランプ氏、各国に10億ドル拠出要求 新国際機関構

ワールド

米政権、ベネズエラ内相と接触 マドゥロ氏拘束前から
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向」語る中、途方に暮れる個人旅行者たち
  • 2
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰に地政学リスク、その圧倒的な強みとは?
  • 3
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 4
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 5
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で…
  • 6
    DNAが「全て」ではなかった...親の「後天的な特徴」…
  • 7
    鉛筆やフォークを持てない、1人でトイレにも行けない…
  • 8
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 9
    シャーロット英王女、「カリスマ的な貫禄」を見せつ…
  • 10
    AIがついに人類に「牙をむいた」...中国系組織の「サ…
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 4
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 5
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 6
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 7
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 8
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 9
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 10
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中