インドネシアで高まる反中感情、宗教対立の選挙と雇用懸念が拍車
ソーシャルメディアで出回っている「1000万人の中国人労働者がインドネシアに流入している」という信憑性の低い情報によってこの問題は一層混乱している。ただ、労働組合は依然として公式統計の数値の正確性に疑問を投げかけている。
中国企業が観光客向けに用意されたビザ不要の渡航ルートを悪用して「数十万人」の低熟練労働者を自国から連れ込んでいるとインドネシア労働組合総連合(KSPI)のSaid Iqbal氏は主張する。
「中国人に職を奪われ、国内の低熟練労働者は働くことができない」と同氏は語る。KSPIは2月以来、適切な在留書類を持たないと思われる中国人労働者に関する非公式のデータをまとめており、労働省に対策を講じるよう要請しているという。
北京に駐在する在中インドネシア商工会議所のLiky Sutikno所長によれば、一部の中国企業は一時的に自社の「技術労働者」をインドネシアに送っているが、現地チームへの引き継ぎが終われば彼らは中国に帰国するという。
こうした労働者は、機械の設置などの作業を迅速に実施できるだけでなく、製品や工程に関する知識も優れている場合があると説明する。
自警団活動
中国企業が運営する複数の精錬所の建設が進むインドネシアのスラウェシ島では昨年、約150人の大学生が、不法就労の中国人労働者を運んでいると疑われる車両を停止させ、彼らを当局に突き出した。
学生の1人は彼らのグループは今年もさらに自警団活動を予定しているという。
労働省のMaruli Hasoloan氏は過去2─3カ月のあいだに、労働紛争や自警団活動がいくつかあったことを認めた。労働省はビザ無し渡航の悪用を防ぐために他の当局と協力しているが、自警団による外国人労働者の取締りを許容しているわけではない、と同氏は述べた。
インドネシアでは歴史的に、反中感情、反共感情が高まる時期を何度か経験してきた。だがそれは、マイノリティとしての中国系住民コミュニティに向けられるのが常だった。