最新記事

シリア攻撃

米シリア攻撃、アサドには「軽いお仕置き」でしかなかった?

2017年4月11日(火)10時58分

別の同盟軍高官は、米軍の攻撃はすぐに終わり、「限定的」だったと言う。高官は、トランプ大統領にとってアサド氏の打倒は優先課題ではないように見受けられ、「米国はまだ明確なシリア政策を持っていない」と述べた。

3人目の同盟軍高官は、攻撃によってトランプ氏が予測不能な行動を取ることは分かったが、米政府の姿勢に大きな変化はないと指摘。「米国の戦略は転換したのか? 彼らはロシアと本格的に事を荒立てたいのか? いや、戦略転換があったとは思えない」と語った。

反体制派は期待

攻撃実施後、トランプ氏はアサド氏に対して「何らか行動を起こす」と厳しい姿勢を示しているが、具体的な行動には言及していない。米国のニッキー・ヘイリー国連大使は8日、アサド大統領退陣が優先課題だと述べ、これまでの方針を転換した。

ティラーソン米国務長官は同日、最優先課題は過激派組織イスラム国(IS)の打倒だと述べており、アサド政権に対してより忍耐強い姿勢を示しているようだ。

オバマ前政権の怠慢を批判してきたシリアの反体制派は、米国がこれを皮切りにアサド政権への攻撃姿勢を強めてほしいと願っている。反体制派グループは7日、米国の「責任」はミサイル攻撃だけでは終わらないと述べた。

反体制派を強制的に郊外へと撤退させるアサド政権の措置は、8日もロシア軍の監視下で計画通り実行された。

シリア国営テレビのインタビューを受けたロシアの軍司令官は、米軍の攻撃によって実行が揺らぐことはないと述べた。

(Tom Perry記者 Laila Bassam記者)

[ベイルート 9日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

オアシス、トヨタ・豊田織機の株保有 買付価格引き上

ビジネス

ドイツ輸出・鉱工業生産、4月は予想以上に減 米国か

ビジネス

ベトナム、5月の対米貿易黒字が急増 関税交渉に影響

ワールド

タイ国軍、カンボジアとの国境紛争で「高レベルの作戦
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:韓国新大統領
特集:韓国新大統領
2025年6月10日号(6/ 3発売)

出直し大統領選を制する李在明。「政策なきポピュリスト」の多難な前途

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    日本の女子を追い込む、自分は「太り過ぎ」という歪んだ認知
  • 3
    猫に育てられたピットブルが「完全に猫化」...ネット騒然の「食パン座り」
  • 4
    壁に「巨大な穴」が...ペットカメラが記録した「犯行…
  • 5
    プールサイドで食事中の女性の背後...忍び寄る「恐ろ…
  • 6
    50歳を過ぎた女は「全員おばあさん」?...これこそが…
  • 7
    脳内スイッチを入れる「ドーパミン習慣」とは?...「…
  • 8
    女性が愛馬に「後輩ペット」を紹介...亀を見た馬の「…
  • 9
    韓国新大統領にイ・ジェミョンが就任 初日の執務室で…
  • 10
    ウーバーは絶体絶命か...テスラの自動運転「ロボタク…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシストの特徴...その見分け方とは?
  • 4
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 5
    ペットの居場所に服を置いたら「黄色い点々」がびっ…
  • 6
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 7
    日本の女子を追い込む、自分は「太り過ぎ」という歪…
  • 8
    ウクライナが「真珠湾攻撃」決行!ロシア国内に運び…
  • 9
    猫に育てられたピットブルが「完全に猫化」...ネット…
  • 10
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 7
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 8
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 9
    ペットの居場所に服を置いたら「黄色い点々」がびっ…
  • 10
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中