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米外交

アラブ穏健派のリーダー、ヨルダン国王がトランプを変える?

2017年4月6日(木)19時10分
ロビー・グレイマー、エミリー・タムキン

アブドラは今回の訪米でトランプにパレスチナ問題に関するアラブ諸国の合意を伝え、和平交渉の再開に向けて米政府からイスラエルとの仲介の約束を取り付ける意向だったとみられる。トランプが駐イスラエル大使に任命したデービッド・フリードマンは親イスラエルで鳴らし、トランプと共にアメリカ大使館をテルアビブからエルサレムに移転する計画を掲げていたが、今のところ実施は見送っている。エルサレムはパレスチナ人の「首都」でもあり、移転すれば、くすぶっている中東の火種が一気に燃え上がると、専門家は警告している。

ヨルダン政府は以前からパレスチナ紛争が中東の政治的な混乱の元凶だと主張してきた。アブドラは今年1月末に訪米した際、マイク・ペンス副大統領、それにトランプの娘婿でホワイトハウスの上級顧問であるジャレッド・クシュナーと会談。トランプが大使館移転を先送りしたのは、アブドラの働きかけによるとみられる。トランプも今回の会談で「この問題のニュアンスと困難さを理解した」と言った。

トランプ政権が先月半ばに発表した18会計年度の予算案には対外援助の大幅削減が盛り込まれており、アブドラの今回の訪米には援助の減額を阻止する狙いもあったとみられる。米議会調査局によると、2016会計年度の米政府の対ヨルダン援助は推定14億ドルに上った。ヨルダンの安定を支えるには経済援助が不可欠だ。

アブドラの訪米に同行したヨルダンのラニア王妃は教育や福祉などの活動に熱心なことで知られ、ファーストレディーのメラニア夫人と昼食を共にし、小学校を視察した。

From Foreign Policy Magazine

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