最新記事

発想術

アイデアのプロが愛用する考具「マンダラート」とは何か

2017年4月4日(火)18時12分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

 カメラマンを意識した場合はどうでしょうか。

「かっこいい写真は?」と真ん中のセルに置いてみて、撮影された写真を想像してみます。

「真っ正面」
「左前30度から」
「ドアを開けて」
「閉じて」
「走っている写真は?」
「社長と一緒に」......と頭の中でカメラを構える。

 アイデアが押し寄せて来そうな予感がしたら、そのまま寄り道してもう一段階マンダラを開いてしまいましょう。「社長と一緒」の方向性をさらに展開させます。

 クルマと一緒に写真に入る社長に注文するとしたら?

「ボンネットに手を置いて」
「脇に立ってVサイン」
「運転席に乗って登場」
「助手席で手を振る」......出だしたら止まりません。

 さて、どれがベストなのか? それはある程度アイデアを出し切った後で、じっくりと選べばいいのです。しつこくて恐縮ですが、アイデアを出すことと、アイデアを選ぶ・判断することを別にしておくことを意識しておいてください。

 それにしても、なぜこんなにたくさんのアイデアが出てくることが可能になるのでしょうか?

 アイデアの素になる要素が一つのテーブルに載っかっているからです。いちいち思い出す必要なくヒントが目の前に並んでいると、アイデアが生まれやすいんですね。ポストイットをたくさん貼っているのと同じです。最初に頭の中にあった情報やヒントを目に見える形に出しておくことによって、アイデアが出やすい、つまり要素を組み合わせやすい環境を作ってあげる。加えて、マンダラが放射状に働く頭の動きに忠実な形をしていることも要因の一つ。デザインのチカラ、を感じずにはいられません。

 これがアイデアを拡げて拡げて拡げるマンダラートの使い方です。

 すでに頭の中にある情報=既存の要素をうまく引き出すことができれば、新しいアイデアを生み出すことは簡単になるのだということがお分かりいただけたでしょうか?

 そのアイデアが面白いかどうかは組み合わせの妙が問われることになります。しかし、組み合わせの方法よりは、組み合わせる要素をどれだけ多彩に引き出せるのか、の方が重要なのかもしれません。

※第4回:企画に行き詰まったら「オズボーンのチェックリスト」を


『考具』
 加藤昌治 著
 CCCメディアハウス


『アイデアはどこからやってくるのか 考具 基礎編』
 加藤昌治 著
 CCCメディアハウス


『チームで考える「アイデア会議」 考具 応用編』
 加藤昌治 著
 CCCメディアハウス


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

日本との関税協議「率直かつ建設的」、米財務省が声明

ワールド

アングル:留学生に広がる不安、ビザ取り消しに直面す

ワールド

トランプ政権、予算教書を公表 国防以外で1630億

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、堅調な雇用統計受け下げ幅縮
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 2
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 3
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単に作れる...カギを握る「2時間」の使い方
  • 4
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 5
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 6
    目を「飛ばす特技」でギネス世界記録に...ウルグアイ…
  • 7
    宇宙からしか見えない日食、NASAの観測衛星が撮影に…
  • 8
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 9
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 10
    なぜ運動で寿命が延びるのか?...ホルミシスと「タン…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 9
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 10
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中