最新記事

健康

台湾の喫煙・飲酒率は世界最下位、高まるアジアの健康志向

2017年3月29日(水)16時45分
舞田敏彦(教育社会学者)

世界各国の喫煙率、飲酒率の割合にはかなりばらつきがある bisli-iStock.

<世界各国の喫煙率、飲酒率を比較すると、喫煙率では東欧が、飲酒率では北欧が高い。台湾を筆頭にアジア各国では健康志向が高まっている>

日本でも煙草と酒を嗜む人は多いが、喫煙・飲酒率は年々減少する傾向にある。厚生労働省の『国民健康・栄養調査』によると、成人男性のうち習慣的に喫煙している人の割合は、2003年では46.8%だったが2015年には30.1%に減少した。習慣的に飲酒する人の割合も、37.4%から33.8%に減少。20代に限って見ると半減している(20.2%→9.4%)。

これは日本でも健康志向が高まっているためだろう。とくに喫煙に対する風当たりは強い。2002年制定の健康増進法では、多数の人が出入りする施設では、受動喫煙の防止措置を取ることが定められた。これは分煙の規定だが、最近はさらに飲食店を全面禁煙にしようという動きもある。喫煙率が減っているのも自然な流れだ。

日本はこのような現状だが、世界各国はどうだろうか。成人の喫煙・飲酒率の国際統計を比較してみた。ISSP(国際的な社会調査プログラム)が2011年に実施した『健康と健康管理に関する意識調査』では、喫煙と飲酒の頻度を尋ねている。頻度は問わず喫煙(飲酒)すると答えた人の割合を、喫煙(飲酒)率としている。

【参考記事】コーヒー、アルコール、喫煙、肥満......脳によくないのはどれ?

日本の調査対象者(18歳以上)のうち、両方の設問に有効回答を寄せたのは1287人。このうち喫煙者は22.0%、飲酒者は39.6%、両方に該当する人は13.2%となっている。煙草は約5人に1人、酒は約5人に2人が摂取していることになる。

このデータを正方形の面積図<図1>で視覚化してみる。左は日本で、右は北欧のスウェーデンのグラフだ。

maita170329-chart01.jpg

青色は喫煙率、赤色は飲酒率の割合で、重なった部分は両方の該当する人の割合。スウェーデンでは喫煙率は13.0%と少ないが、気候が寒いためか酒を飲む人は6割と多くなっている。しかし両方に該当する人は日本の方が多い。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

インドGDP、7─9月期は前年同期比8.2%増 予

ワールド

今年の台湾GDP、15年ぶりの高成長に AI需要急

ビジネス

伊第3四半期GDP改定値、0.1%増に上方修正 輸

ビジネス

独失業者数、11月は前月比1000人増 予想下回る
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 3
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    「攻めの一着すぎ?」 国歌パフォーマンスの「強めコ…
  • 8
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 9
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 3
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 4
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 5
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 6
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 7
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 10
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中