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韓国の次期「左派大統領」が進む道

2017年3月28日(火)11時00分
ロバート・E・ケリー(本誌コラムニスト、釜山国立大学准教授)

憲法の規定により、60日以内に次の韓国大統領を選ぶ選挙が実施される。現時点で支持率が高いのは、左派の候補者たちだ。朴と同じ保守派は苦戦している。保守派の最有力候補だった潘基文(バン・キムン)前国連事務総長が出馬見送りに追い込まれたように、保守派への支持が凋落し、左派に風が吹いているのだ。

左派候補の中でも最も有力なのが、最大野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)前代表だ。12年の大統領選でわずか得票率3.5ポイントの差で朴に敗れた人物である。文は左派の盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権(03~08年)で要職を務めるなど、韓国の有権者にはなじみの顔だ。国内政策では福祉重視の伝統的な社会民主主義者、対北朝鮮政策ではハト派として知られている。

文が当選した場合、内政面の最大の課題は政財界の汚職一掃だ。具体的には、一部の有力財閥を解体する、財閥の企業統治の透明化を要求する、政界と財界の結び付きを絶ち切るといった改革が求められそうだ。

ひとことで言えば、政財界が足並みをそろえて経済発展を推し進めるという経済開発モデルそのものを変える必要があるのだろう。汚職の温床になってきたのは、そうした政府と財界の密接な連携だったのだから。

外交政策の面ではどうか。北朝鮮、日本、中国という近隣諸国との関係に関して、韓国の左派は保守派政権の政策への反対姿勢を鮮明にしてきた。

北朝鮮に対して、左派は伝統的に融和的な関与政策を好む。左派の金大中(キム・デジュン)政権と盧政権が推進した「太陽政策」はその典型だ。これは、協力と友好を通じて、北朝鮮が国際社会のルールに従い、国内の民主化を進めるよう促すという政策だった。

しかし、太陽政策は失敗だったというのが一般的な見方だ。北朝鮮の変革は進まず、むしろ核開発とミサイル開発が継続された。08年に太陽政策が終了すると、北朝鮮の態度はさらに悪化した。10年3月には韓国海軍の哨戒艇を撃沈し、11月には韓国の延坪島(ヨンピョンド)への砲撃も行った。

【参考記事】北朝鮮、ミサイル発射するも失敗 打ち上げ直後に空中爆発か

「慰安婦」合意は維持?

その後、北朝鮮の核兵器は進化し、ミサイル実験の頻度も増している。しかも、2月にマレーシアで金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム)を殺害した際は、化学兵器に分類される猛毒の「VX」を用いたとされる。

こうした状況を考えると、対北朝鮮融和派の文が大統領になっても「太陽政策第2弾」を実行することは難しいだろう。

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