最新記事

女性問題

「国際女性デー」全世界の女たちは勇敢に戦った

2017年3月9日(木)18時30分
エミリー・タムキン

ニューヨークの街は赤い服の女性たちで埋め尽くされた Lucas Jackson-REUTERS

<国際女性デーの創設から約一世紀。世界各国の女性たちは未だ平等から程遠い現状を創意豊かに訴えた>

3月8日は国際女性デー。世界で記念行事やイベントが催され盛り上がった。その起源はそもそも1908年、ニューヨークの縫製工場で働く1万5000人の女工たちが公平な労働条件を求め行進したこと。翌年はアメリカの市民団体も参加、これが初の公式な国際女性デーになった。1913年までは2月の最終日曜日を国際女性デー、その後3月8日に移行した。

1917年の3月8日は、サンクトペテルブルクでロシア革命の発端となる女性の行進が行われた日でもある。社会主義や冷戦を連想させるようになった国際女性デーはアメリカでは流行らなくなったが、近年、欧米諸国にもムーブメントが復活。政治的なルーツに回帰した。

ドナルド・トランプ米大統領がホワイトハウスで昼食会を開いたアメリカでは、人権団体「ウィメンズ・マーチ」の呼びかけで、家庭や職場に「女性がいない日」として「料理や子育てなどの無休の仕事や、有給の仕事を休もう」と訴えるストライキやデモが決行された。女性の不在で活躍を実感してもらう主旨だ。全米各地で開催され、ワシントンでは、国会議事堂前に集まったデモ参加者の中に米議会議員の姿もあった。

ロシアでは、フェミニストたちが1917年を真似て、クレムリンに「権力を200年握る男性を打倒せよ!」と書かれた横断幕を掲げ青い発煙筒を焚き、政治から男性を追い出すよう呼びかけた。人権団体によると、この騒動で記者を含む7人が一時拘束された。

ポーランドでは、女性(と男性)が、ますます厳格になった中絶法や、最近アンジェイ・ドゥダ大統領が、家庭内暴力から女性を保護する法律を「余計だ」と決定したことなど、与党による女性の権利の扱いに対する抗議が続いた。

ジョージア(旧グルジア)の首都トビリシでは、女性に立ちはだかる「ガラスの天井」を表して、女性たちがガラス板を下から持ち上げるパフォーマンスが行われた。

アイルランドでは、黒い服に身を包んだ女性たちが、中絶を違法とすることに反対の声を上げた。(母親の命が危険に瀕している場合を除く)

そしてニューヨークの街中には、主催者が着用を呼び掛けたテーマカラーの赤い服を着た1万5000人が集結した。まるで一世紀前を彷彿とさせる光景が広がった。

From Foreign Policy Magazine

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米マイアミ市長選、民主党候補が勝利 約30年ぶり

ビジネス

航空業界ネットゼロに黄信号、SAF供給不足 目標未

ビジネス

金利上昇続くより、日本の成長や債務残高GDP比率低

ワールド

米、中国軍のレーダー照射を批判 「日本への関与揺る
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキング」でトップ5に入ったのはどこ?
  • 3
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「財政危機」招くおそれ
  • 4
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 5
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 8
    「1匹いたら数千匹近くに...」飲もうとしたコップの…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    イギリスは「監視」、日本は「記録」...防犯カメラの…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中