最新記事

米政権

トランプの「嘘」まとめ第2弾(テロ、世論調査、殺人ほか)

2017年2月10日(金)11時45分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

メキシコ市の蝋人形館にあるトランプ人形 Henry Romero-REUTERS

<トランプ政権発足から3週間。トランプの「嘘」はますます増えており、メディアとの戦いも激化、内外に大きな影響を及ぼしている>

ドナルド・トランプは嘘をつく。そのこと自体、もはやニュースでもなんでもない。

しかし、その嘘に関する報道が絶える気配はない。トランプ米政権が発足して3週間が経ち、今後はトランプが何を言ったかよりも、何をしたかを報じていくべきだという声もあるが、今も新しい「嘘」とそれに対する反証が続々と出てきている(もちろん、大統領令や閣僚人事など"何をしたか"も米メディアはきちんと報道している)。

理由はいくつもある。決してささいな嘘ではないこと、米政権が事実をないがしろにしている点が前代未聞であること、トランプ自身がメディアへの敵対姿勢を貫いておりメディアがそれを受けて立つ形になっていること......。

【参考記事】トランプの「嘘」まとめ(就任式、対日要求ほか)

就任から最初の数日間だけでも重要な「嘘」はいくつもあったが、ここで改めて最近の「嘘」を整理しておきたい。

***

(1)メディアは故意にテロを報じていない!

トランプがフロリダ州の空軍基地で、メディアのテロ報道が十分ではないと批判したのは2月6日。基地での演説でトランプはこう言ったという。「(テロが)あまりに多く、報道すらされていない。多くの場合、不正直極まりないメディアは報道したがらないのだ。何か理由があるのだろう」

その夜、ホワイトハウスは大統領の主張を裏付けるべく、78のテロ事件のリストを発表した。2014年9月から2016年12月までのリストで、「大半は十分な報道がされなかった」という。

このリストに多くのメディアは驚愕し、憤慨し、反論している。なぜなら、パリ同時多発テロやフロリダ州のナイトクラブ銃撃事件など、大きく取り上げた国内外の大規模テロが入っていたからだ。それだけでなく、死傷者が少なかったものも含め、リストに載っているテロはきちんと報じてきたと、CNNニューヨーク・タイムズも、長いリストを付けた反論記事を掲載した。

新聞、雑誌、通信社、TVニュースなどの記事データベース「ネクシス」を調べたCNNによれば、ホワイトハウスのリストに載っているテロのうち、ネクシスで1件もヒットしなかった事件は3つだけ。死傷者が出なかった事件だ。

ニューヨーク・タイムズはもう1つの問題点を挙げる。イスラム教徒を標的にしたテロが除外されているということだ。例えば、2015年にレバノンのベイルートで起きた2件の自爆テロや、ナイジェリアのイスラム過激派ボコ・ハラムの殺戮行為がリストに載っていない。

また、本誌シニアライターのカート・アイケンワルドは、テロではない殺人事件がリストに含まれている点を問題視する。「ホワイトハウスはアラブ風の名前と関連のある暴力事件を検索し、テロだとすぐに決めつけたようだ」

結局、嘘まみれのリストだったということだ。ちなみに、単純ミスも多く、アイケンワルドは「恥ずかしいほどにスペルミスと嘘ばかりで、まるで高校1年生が期限ギリギリに提出した宿題のよう」と形容している。

テロ対策として打ち出した中東・アフリカ7カ国からの入国禁止令が批判に晒されるなか、メディアがテロの脅威を過小評価していると訴え、イスラム教徒は危険だと国民に刷りこむ意図があったようだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ボーイング「777X」、納入開始は2027年にずれ

ワールド

べネズエラ沿岸付近に戦闘機5機、国防相が米国を非難

ビジネス

テスラ第3四半期納車が過去最高、米の税控除終了で先

ビジネス

ホンダ、ブラジルの二輪車工場に440億円投資 需要
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
2025年10月 7日号(9/30発売)

投手復帰のシーズンもプレーオフに進出。二刀流の復活劇をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 3
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 4
    「人類の起源」の定説が覆る大発見...100万年前の頭…
  • 5
    イスラエルのおぞましい野望「ガザ再編」は「1本の論…
  • 6
    「元は恐竜だったのにね...」行動が「完全に人間化」…
  • 7
    1日1000人が「ミリオネア」に...でも豪邸もヨットも…
  • 8
    女性兵士、花魁、ふんどし男......中国映画「731」が…
  • 9
    【クイズ】1位はアメリカ...世界で2番目に「航空機・…
  • 10
    AI就職氷河期が米Z世代を直撃している
  • 1
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び出した父親が見つけた「犯人の正体」にSNS爆笑
  • 4
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 5
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒…
  • 6
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 8
    高校アメフトの試合中に「あまりに悪質なプレー」...…
  • 9
    虫刺されに見える? 足首の「謎の灰色の傷」の中から…
  • 10
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 9
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中