最新記事

自動車

自動運転車なら「雪道」でもスリップなしに安全走行できる?

2017年1月20日(金)17時48分
セス・バーンバウム ReadWrite[日本版]編集部


自動運転車はいかにして雪道に立ち向かうか


自動運転車の雪道でのテスト走行 Ford Media / Youtube

 自動運転車はどのようにして、人間のできるそれ以上に雪道で走行できるようになるだろう?

 雪道における安全運転は経験によるところもある。スリップやスピンを経験したドライバーと比べ、新人ドライバーが雪道を運転することはより一層難しいだろう。だが、それは技術が解決できる。自動運転車のセンサーはどれも単体では安全と言えないが、連動することで正確性は確保できる。以下に挙げる4つの技術が、雪道での自動運転車の安全運転の可否を握る。

[1]自動運転車に取り付けられている「3Dマップ」によって、道をどう安全に走るかに備えることができる。多くの自動運転車メーカーは木の位置や標識、車線やカーブなどの詳細なマッピング技術を持っている。車が走っているところをよりよく知ることで、他の車や通行人などの障害物により集中できる。これら3Dマップは晴天下で有効な技術だが、LIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging:「光検出と測距」ないし「レーザー画像検出と測距」)など他の技術と組み合わせることで雪の日でも機能する。

[2]「LIDAR」は、ビームで障害物を検知することで機能する。非常に正確な技術で雨粒や雪、木や標識の識別が可能だ。雪の日には3Dマップとの組み合わせで、晴天時の地図情報と実際の路面状況を比較する。例えば道が雪に覆われていてもLIDARは車線の検知が可能だ。ビームによる検知で車は停止標識やビルなどの距離を計測し、それから覆われた車線の場所を割り出すことが出来る。フォードはこの車を自社の自動運転車に導入したが、他社もこれに続くだろう。さらに言うと、3DマッピングとLIDAR技術は雨粒や雪が障害物かどうかの判定もできる。レーザーが雨や雪を通過する際、最初はこれを障害物だと判断するかもしれない。だが、アルゴリズムによって、それがどれだけの時間同じ場所にあるかチェックされる。レーザーが同じ雨粒を2度通過することはないため、これは障害物ではないと判断されるのだ。

[3]レーダーは電磁波を使って物体を検知する。LIDARと違い光の反射を伴わないことから、雪や雨の影響をより受けにくい。荒天でも走っている車や通行人、ビルの検知のできるレーダーは自動運転車が安全に走行するのに役立つ。しかし、多くの自動車メーカーはレーダーをフロントガラスの裏に設置している。センサーが車の外に取り付けられた場合、凍りついて使い物にならなくなるためだ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

自民党の高市新総裁、金融政策の責任も「政府に」 日

ワールド

自民党総裁に高市氏、初の女性 「自民党の新しい時代

ワールド

高市自民新総裁、政策近く「期待もって受け止め」=参

ワールド

情報BOX:自民党新総裁に高市早苗氏、選挙中に掲げ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
2025年10月 7日号(9/30発売)

投手復帰のシーズンもプレーオフに進出。二刀流の復活劇をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 3
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、Appleはなぜ「未来の素材」の使用をやめたのか?
  • 4
    MITの地球化学者の研究により「地球初の動物」が判明…
  • 5
    謎のドローン編隊がドイツの重要施設を偵察か──NATO…
  • 6
    「吐き気がする...」ニコラス・ケイジ主演、キリスト…
  • 7
    「テレビには映らない」大谷翔平――番記者だけが知る…
  • 8
    墓場に現れる「青い火の玉」正体が遂に判明...「鬼火…
  • 9
    【クイズ】1位はアメリカ...世界で2番目に「航空機・…
  • 10
    「人類の起源」の定説が覆る大発見...100万年前の頭…
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 3
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 4
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 5
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び…
  • 6
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 7
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 9
    MITの地球化学者の研究により「地球初の動物」が判明…
  • 10
    虫刺されに見える? 足首の「謎の灰色の傷」の中から…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 7
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中