最新記事

フィリピン

「これは戦争だ」比ドゥテルテ大統領の右腕、死者増加を予想

2016年10月12日(水)10時57分

 10月4日、フィリピンのロナルド・デラロサ国家警察長官(写真)はフィリピンのドゥテルテ大統領が推進する麻薬撲滅戦争を執行する立場にある。この作戦ではわずか3カ月間で3400人以上の死者が出ている。写真は3日、首都マニラの南にあるパサイしで聴聞会に出席する同長官(2016年 ロイター/Romeo Ranoco)

フィリピンのロナルド・デラロサ国家警察長官が、ルソン島の地区本部で警官に激励の訓示を行うと、彼らはプレゼントで応えた。それは、米映画「ブレイブハート」で俳優メル・ギブソンが使った剣のレプリカだった。

 恰幅のよい長官はにやりと笑うと、自分の背ほどもある剣を振り回してみせた。仮設テントの拡声器からは「勇者の中の勇者」と彼をたたえる声が流れた。

 54歳のデラロサ長官は、フィリピンのドゥテルテ大統領が推進する麻薬撲滅戦争を執行する立場にある。この作戦ではわずか3カ月間で3400人以上の死者が出ている。

 フィリピンで面積・人口とも最大のルソン島をデラロサ長官が訪れたのは、この作戦の血なまぐさい最前線に立つ警官たちを鼓舞するために行われている視察の一環である。

「職務を遂行するよう、彼らを励まさなければならない」と長官は先月この視察を取材したロイター記者に語った。「これは戦争だ」

警察は3日、ドゥテルテ大統領氏が就任した翌日7月1日以来、麻薬撲滅戦争によって1375人が射殺されたと発表。また「捜査過程での死亡」として他に2066人が殺されていると報告している。人権活動家によれば、これらの多くは自警団による殺害だという。

 ロイターでは、これらの数値の正確性、そして死亡数のうちどの程度が自警団による殺害なのかを確認できなかった。

 この麻薬撲滅戦争は諸外国からの怒りを買っている。だがフィリピン国内では、犯罪にうんざりした国民からの称賛を浴びており、市民団体からの批判の声も大きくない。

 フィリピンでは、汚職と暴力という悪評のため、一般的に警察が軽蔑や恐怖の対象となっているが、デラロサ長官の人気は高い。

 国家警察庁長官に就任してわずか2カ月だが、国内メディアはすでに彼をドゥテルテ氏の後継候補としてもてはやしている。ただし、マーティン・アンダナール大統領広報官はこれを「憶測」と断じている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英中銀総裁、市場が利上げ織り込み過ぎとけん制 成長

ビジネス

米スペースXがIPO申請、 21日にアナリスト説明

ビジネス

中東紛争は総合物価押し上げ、コアへの影響限定的=ク

ビジネス

米自動車販売、第1四半期はGMとトヨタが前年比減
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    中国がイラン戦争最大の被害者? 習近平の誤った経済政策と石油危機が奏でる「最悪なハーモニー」
  • 3
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イラン恐怖」の正体
  • 4
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 5
    北京に代わる新都市構想は絵に描いた餅のまま...大幅…
  • 6
    人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に…
  • 7
    カンヌ映画祭最高賞『シンプル・アクシデント』独占…
  • 8
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受…
  • 9
    「え、なんで?」フライト中に操縦席の窓が覆われて…
  • 10
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 3
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 4
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 5
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 6
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 7
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 8
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 9
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 10
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中