最新記事

原発

福島第1廃炉費用「年数千億円増」 全額国が負担など4案明らかに

2016年10月25日(火)14時35分

10月25日、経済産業省は、東京電力福島第1原発の廃炉費用について、燃料デブリ取り出し作業により増加する見込みで、年間数千億円程度の資金確保が必要になる可能性があるとの見方を示した。2月撮影(2016年 ロイター/TORU HANAI)

経済産業省は25日、東京電力<9501.T>福島第1原発の廃炉費用について、燃料デブリ取り出し作業により増加する見込みで、年間数千億円程度の資金確保が必要になる可能性があるとの見方を示した。同日朝に開催された「東京電力改革・1F問題委員会」(東電委員会)の資料で明らかにした。

 世耕弘成経産相は東電委員会後の記者会見で、福島第1原発の廃炉費用の試算について「想定される金額は年内をめどに提示したい」と述べた。経産省によると、2013年度から15年度までの3年間の平均金額は約800億円になっている。

 同資料では、廃炉や賠償など福島原発事故に伴う費用の負担について4つの「シナリオ」のイメージを提示。1)国が肩代わりし東電は現状維持、2)公的資金を投入し東電は長期公的管理、3)国が東電を放置し東電は法的整理、4)国が必要な対応を行い、東電は改革を実行━━とした。

 2回目の開催となった同委員会の冒頭で、世耕経産相は「東電委員会は東電救済ではなく、東電の改革を検討する場。電力やエネルギー産業の姿、福島を支える仕組み、事故に備えた制度のあり方を指し示す基礎となる。国民的テーマを扱う議論の場だ」と述べた。

 同委員会は非公開で運営しており、世耕氏の冒頭発言の後、報道陣は会場から退出を求められた。世耕氏は会見で会議を非公開にしていることについて「個社の経営や海外との話も出てくる。議事要旨の公開で対応したい」と述べた。

議論は東電改革とセットで

 会議終了後、東電委員会の伊藤邦雄委員長(一橋大学大学院商学研究科特任教授)らが記者会見した。

 4つのシナリオの中から選択して議論するのかとの質問に対して伊藤氏は、「シナリオ1、2、3は採らない。今後の議論はシナリオ4(東電の改革)の中で細部も含めて具体的な議論をしていく」と述べた。

 東電の数土文夫会長は今年7月末の記者会見で、「事業再編も含めた非連続な経営改革が必要」と表明。東電委員会での配布資料には「非連続な経営改革(事業再編)」として「送配電」や「原子力」での「連携の実行」が記載されている。

 資源エネルギー庁電力・ガス事業部の畠山陽二郎政策課長は、「東電持ち株会社の中に原子力事業があるが、引き続き持ち株会社の中でやっていくのか、子会社にして他社との連携も含めて考えるのかなど、あらゆる可能性を排除しないという意図」と説明した。



[東京 25日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

金現物が連日の最高値、銀現物は初の90ドル突破

ビジネス

12月工作機械受注は前年比10.6%増、6カ月連続

ワールド

イラン抗議デモ関連の死者2571人に=米人権団体

ビジネス

米、エヌビディア「H200」の対中輸出を承認 事前
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広がる波紋、その「衝撃の価格」とは?
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救った...実際の写真を公開、「親の直感を信じて」
  • 4
    飛行機内で「マナー最悪」の乗客を撮影...SNS投稿が…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 7
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 9
    「お父さんの部屋から異臭がする」...検視官が見た「…
  • 10
    「普通じゃない...」「凶器だ」飛行機の荷物棚から「…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 5
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 6
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 7
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 8
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 9
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 7
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中