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中央アジア

トルコ政変は世界危機の号砲か

2016年8月2日(火)18時00分
楊海英(本誌コラムニスト)

 同地の宗教指導者はイスラムの復興を唱えているし、ロシアは旧ソ連時代からの影響力を行使しようと暗躍する。地域大国のイランもシーア派の勢力を伸ばそうとし、インドも通商の利益を確保しようとしている。「巨龍」中国は、過激なイスラム思想が「トルコ系兄弟」と一体化して、中国政府に抑圧され続けているトルコ系のウイグル人同胞の解放運動につながるのを懸念している。まさに19世紀から続いてきたグレートゲームの再演といっていい。

【参考記事】アメリカは大粛清を進めるトルコと縁を切れ

 12年11月にウランバートルで「チンギス・ハン生誕850周年大会」が開催されたとき、中央アジア各国から「チンギス・ハンの子孫」を自称するさまざまな団体が参集。モンゴルは彼らに破格な厚遇を与えて喜ばせた。その地では今、日本から提供された資金で巨大な新チンギス・ハン(ウランバートル)国際空港を建設中。ウランバートルとアンカラを結び付けようと熱心に呼応しているのは、ほかでもないエルドアンだ。

 新しいハブ空港が北アジアの草原にできた暁には、北朝鮮有事のリスクを抱える韓国の仁川空港と、いつ政治的な嫌がらせを仕掛けてくるかも分からない中国を避けて、ユーラシアの東西を直接結ぶことができる――エルドアンも日本の安倍首相もそう認識しているようだ。

 錯綜するグレートゲームでユーラシアが複雑化している。

[2016年8月 2日号掲載]

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