最新記事

尖閣諸島

中国公船13隻が「中国の管轄海域」と尖閣周辺を航行、過去最多

2016年8月8日(月)09時56分

 8月7日、日本が領土とみなす尖閣諸島(中国名:釣魚島)の接続水域を航行する中国公船が過去最多の13隻に増えた。うち2隻が午前に続いて再び領海へ入り、日本の外務省は中国に改めて抗議した。写真は、中国海警局の船舶。南シナ海で2014年3月撮影(2016年 ロイター/Erik De Castro)

日本が領土とみなす尖閣諸島(中国名:釣魚島)の接続水域を航行する中国公船が7日午後、過去最多の13隻に増えた。うち2隻が午前に続いて再び領海へ入り、日本の外務省は中国に改めて抗議した。

5日から尖閣周辺を航行していた中国海警局の船舶は、7日午前に9隻に増加。午後になって13隻まで増えた。午前10時ごろ2隻が領海に侵入し、いったん領海外に出たものの、同日夕方に2隻が再び領海に入った。

13隻が同時に尖閣の接続水域を航行するのは初めて。これまでの最高だった2012年9月18日の12隻を上回った。外国の公船が接続水域を航行するのは国際法上、問題がない。しかし日本政府は、多数の中国公船が活動していることを警戒している。海上保安庁によると、中国船は通常3、4隻が周辺海域を航行している。

日本の外務省は7日午後5時ごろ、杉山晋輔事務次官が程永華駐日大使に抗議。「わが国から累次にわたって厳しい抗議を行っているにもかかわらず、中国側が現場の緊張をさらに高める一方的な行動を取っていることは断じて認められない」と訴えた。その上で、領海と接続水域からの退去を求めた。

杉山次官は、同日午前にも中国大使に抗議。金杉憲治アジア太平洋局長も、中国大使館の郭燕公使に午前と午後の2回抗議した。

午前の領海侵入時には、海上保安庁の巡視船が警告すると、中国の海警船から「中国の管轄海域で定例のパトロールをしている。貴船はわが国の管轄海域に侵入した。わが国の法律を守ってください」との応答があった。

尖閣諸島をめぐっては、日本側は領土問題は存在しないとの立場を取る一方、中国側は領有権を主張している。

これとは別に日本政府は6日、東シナ海のガス田開発の地点で、中国が建設した16基の構造物の1基にレーダーが設置されていることを初めて確認した。外務省は中国側に抗議した。

*7日に配信した記事で、不要な文字を削除して再送します。

(久保信博※)



[東京 7日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ軍撤退なければ、ドンバス地方を武力で完全

ビジネス

アングル:長期金利2.0%が視野、ターミナルレート

ワールド

中国、レアアース輸出ライセンス合理化に取り組んでい

ワールド

ADBと世銀、新協調融資モデルで太平洋諸島プロジェ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与し、名誉ある「キーパー」に任命された日本人
  • 3
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国」はどこ?
  • 4
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 7
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 8
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 9
    台湾に最も近い在日米軍嘉手納基地で滑走路の迅速復…
  • 10
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 6
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 7
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 8
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中