最新記事

人種問題

アメリカ抗議デモ排除の警官隊に向き合う黒人女性、静かな抗議に大反響

2016年7月14日(木)19時02分

 黒人男性アルトン・スターリングさん(37)が地元警察によって先週射殺され、バトンルージュは抗議デモの引火点となった。コンビニエンスストアの前で銃を持った男に脅されているとの通報を受けた警察は現場に警官を送った。スターリングさんは同店舗前でCDを売っていた。

 スターリングさんの死と、ミネソタ州セントポール郊外でもう1人の黒人男性、フィランド・カスティールさん(32)がその翌日に射殺された事件は、少数派に対する警察の扱いへの抗議運動をよみがえらせた。過去2年間渦巻いたこうした抗議は「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大切だ)」と呼ばれる運動を起こしている。

立ちどまる

 5歳男児の母親でもあるエバンスさんは、「彼の自由と権利のために戦ったと、息子をじっと見つめて伝えたかった」ので、バトンルージュに向かった。彼女を小さいころから知るという男性、R・アレックス・ヘインズさんは、フェイスブック上にそう書き込んでいる。

 地元警察当局の拘置記録によると、エバンスさんは幹線道路の交通妨害の容疑で拘束され、すでに釈放されている。ロイターはエバンズさんのコメントを得ることができなかった。

 ロイターのカメラマンによると、メガホンやショットガンを所持した新ブラックパンサー党のメンバーを含むデモ隊を警官隊が排除した後で、エバンスさんが幹線道路上を歩いて彼らの前に立ったという。

 彼女は無表情で、何も話さなかったという。「私には、彼女が立ちどまり、『ここにきて、私を捕まえなければならない』と主張しているように見えた」とカメラマンは語った。

 警官が彼女を捕まえ、急いで連れ去った。ほんの30秒程度の出来事だったという。

 エバンスさんは逮捕後、フェイスブックに「平和、愛、ブラックパワー!#‎blacklivesmatter」と投稿。彼女は、自分に代わってインタビューを受けないで欲しいと友人たちに依頼し、自分で話をしたいと伝えたが、その後、まだ記者と話す準備ができていないと語っている。

 「息子のもとに帰りたい。いろいろ経験した」と彼女は記した。

 (Colleen Jenkins記者、翻訳:高橋浩祐、編集:下郡美紀)

[ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

再送-タイのシリキット王太后が93歳で死去、王室に

ワールド

再送-トランプ米大統領、日韓などアジア歴訪 中国と

ビジネス

アングル:解体される「ほぼ新品」の航空機、エンジン

ワールド

アングル:汎用半導体、供給不足で価格高騰 AI向け
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...装いの「ある点」めぐってネット騒然
  • 2
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 3
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月29日、ハーバード大教授「休暇はXデーの前に」
  • 4
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 5
    為替は先が読みにくい?「ドル以外」に目を向けると…
  • 6
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 7
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼…
  • 8
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 9
    「信じられない...」レストランで泣いている女性の元…
  • 10
    【ムカつく、落ち込む】感情に振り回されず、気楽に…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 5
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 6
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 9
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 10
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中