最新記事

米共和党

米共和党、トランプ降ろしの最終兵器

「団結せよ」の呼び掛けをよそに、「トランプ大統領」阻止を画策する動きは止まらない

2016年5月16日(月)20時05分
ウィンストン・ロス

団結を乱す人 共和党幹部のポール・ライアン下院議長を訪ねるトランプ Kevin Lamarque-REUTERS

 米共和党幹部は先週、党団結の重要性を説いて回ったが、騙されてはいけない。ドナルド・トランプが大統領になるのを阻止するために、ドン・キホーテさながら敵に突進しようとする動きはまだ活発だ。勝ち目はないかもしれないが、この戦いは、今後数十年にわたる保守政治への認識を左右する。

【参考記事】#ネバートランプ! 共和党主流派の遅過ぎた?逆襲

 週末のワシントン・ポスト紙の報道によると、ドン・キホーテの最新の動きは、7月の共和党大会か11月の大統領選挙でトランプに逆転勝利できる独立候補擁立だ。オハイオ州知事のジョン・ケーシックやネット長者のマーク・キューバンも含め、今まで打診した大物は皆、出馬を拒否した。それでも、共和党の一部はトランプ退治を諦めない。共和党の未来が懸かっているからだ。

「不利な状況なのはわかっているが、誰も諦めるつもりはない」と、共和党の反トランプ運動の中心人物の一人で共和党のストラテジストを務めるリック・ウィルソンは本誌に語った。「このままただ降参するわけにはいかない、という気持ちで皆一致している。信念を持ってトランプに反対し続ける」

【参考記事】クルーズ撤退、ヒラリー敗北の衝撃

 選択肢ははっきりしている。トランプを共和党の顔として受け入れて、その壊滅的な結果も受け入れるか、あるいはトランプを止めるか、だ。もちろん彼らは止めるつもりだ。たとえそのせいで共和党の票が割れ、民主党のヒラリー・クリントンに流れてしまったとしても。トランプが大統領候補になれば、どうせ本選ではクリントンが勝つことになるのだから、とウィルソンは言う。

リバタリアンから宗教保守派まで

 かくして戦いは続く。先のワシントン・ポスト紙によれば、独立候補探しのリストには、2012年の副大統領候補ミット・ロムニーや有力コメンテーターのビル・クリストルやエリック・エリクソン、ストラテジストのマイク・マーフィー、スチュアート・スティーブンス、そしてウィルソン自身も入っている。

 必要なのは強い候補だ。リバタリアン(政府極小主義者)や軍事タカ派、キリスト教保守派など、トランプを嫌いなすべての層に好かれる候補。これまで声をかけた候補にはすべて断られたが、ウィルソンは誰かが心変わりすることを期待している。

 とはいえ、トランプを止めるのは日増しに難しくなっている。残りの予備選は登録の締め切りが過ぎたか近づいているからだ。だがもし仮にトランプが共和党の候補になったとしても、それでもまだトランプとクリントンを大統領にしない方法はある、と反トランプ派は言う。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

BofA、投資銀行部門の賞与引き上げへ 20%増も

ビジネス

ビットコインの12カ月予測14万3000ドル、規制

ワールド

国際司法裁、ミャンマーのジェノサイド訴訟で1月審理

ワールド

トランプ氏写真、削除後に再掲載 司法省公開のエプス
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 7
    米空軍、嘉手納基地からロシア極東と朝鮮半島に特殊…
  • 8
    週に一度のブリッジで腰痛を回避できる...椎間板を蘇…
  • 9
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 9
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中