最新記事

領土問題

中国戦闘機2機が南シナ海で緊急発進、艦艇3隻とともに米艦の航行に警告

米海軍の「航行の自由」作戦に対し武力で対抗、緊張高まる

2016年5月11日(水)19時05分

5月10日、中国は、同国が領有権を主張する南シナ海の岩礁付近に米艦船が接近したことに反発し、中国軍の戦闘機を緊急発進したと発表。写真は2014年8月に米海軍が撮影した中国のJ11戦闘機。米海軍提供(2016年 ロイター)

 中国は10日、同国が領有権を主張する南シナ海の岩礁付近に米艦船が接近したことに反発し、中国軍の戦闘機を緊急発進したと発表。米艦の航行を「平和に対する非合法な脅威」と非難した。

 米海軍は中国が実効支配する永暑礁(英語名ファイアリー・クロス礁)から12カイリ(約22キロ)内にイージス駆逐艦ウィリアム・P・ローレンスを派遣し、「航行の自由」作戦を実施した。中国はこの岩礁に人工島を造成しており、滑走路などの建造を進めている。

 米国防総省のビル・アーバン報道官は、中国と台湾、ベトナムが南シナ海での航行権を制限しようとしていると述べ、今回の作戦は「過度な海洋の権利主張に挑む」ために実施されたと説明した。

 米艦の航行を受けて、中国の戦闘機2機が緊急発進したほか、中国海軍の艦艇3隻が米駆逐艦を尾行し、現場海域を立ち去るよう警告したと中国国防省が発表。

 中国外務省の陸慷報道局長も10日、米駆逐艦が中国の領海に不法に進入したと非難した。

 今回の作戦は、今月予定されるオバマ米大統領のアジア訪問に先駆けて何かメッセージを発信する意図があったのかという質問に対し、ケリー米国務長官は回答を避けた。

 「現在進行している航行の自由作戦の定期的な実施という以外に、何ら事前に計算した戦略ではない」と同長官は訪問先のロンドンで記者団に語った。

厄介な海域

 中国が年間5兆ドル(約543兆円)の貿易を支える戦略的輸送路となっている南シナ海の大部分の領有権を主張する一方で、フィリピン、ベトナム、マレーシア、台湾やブルネイなどもそれぞれ重なり合う海域での権利を求めている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル、アルジャジーラ記者を殺害 ハマスのリー

ビジネス

EXCLUSIVE-ソフトバンクG、ペイペイの米上

ワールド

イスラエル首相、新たなガザ攻撃「かなり早期に完了」

ビジネス

アングル:欧州の古い発電所、データセンター転換に活
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客を30分間も足止めした「予想外の犯人」にネット騒然
  • 2
    なぜ「あなたの筋トレ」は伸び悩んでいるのか?...筋肉は「光る電球」だった
  • 3
    産油国イラクで、農家が太陽光発電パネルを続々導入する切実な理由
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 6
    輸入医薬品に250%関税――狙いは薬価「引き下げ」と中…
  • 7
    伝説的バンドKISSのジーン・シモンズ...75歳の彼の意…
  • 8
    60代、70代でも性欲は衰えない!高齢者の性行為が長…
  • 9
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 10
    イラッとすることを言われたとき、「本当に頭のいい…
  • 1
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 2
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 5
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 6
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 7
    【クイズ】次のうち、「軍用機の保有数」で世界トッ…
  • 8
    職場のメンタル不調の9割を占める「適応障害」とは何…
  • 9
    こんなにも違った...「本物のスター・ウォーズ」をデ…
  • 10
    イラッとすることを言われたとき、「本当に頭のいい…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中