最新記事

インド洋

中国牽制を狙うモディ外交

南シナ海からインド洋に至る水路の確保を目指す中国の戦略に対抗するインド

2015年3月25日(水)18時28分
アマン・マリク

シーレーン防衛 モディの外交攻勢を中国はどこまで黙認するか Adnan Abidi-Reuters

 インドのモディ首相は先週、インド洋に浮かぶ3カ国、セーシェル、モーリシャス、スリランカを歴訪した。最終訪問国のスリランカをインドの首相が訪れるのは28年ぶりのことだ。モディの周辺国外遊には、南シナ海からインド洋に至るシーレーン確保を目指す中国の「真珠の首飾り」戦略に対抗する狙いがある。

 モディの歴訪を控えた今月初め、インド政府はスリランカに最大出力500メガワットの地熱発電所を建設する計画を発表。周辺国への影響力拡大に向けた強い決意を見せつけた。

 先月には就任後間もないスリランカのシリセナ大統領がインドを初訪問し、民生用の原子力開発で協定を結んだ。報道によれば、シリセナはラジャパクサ前大統領時代の中国寄り外交を修正すると約束したという。

 ラジャパクサ前政権は原子力利用でパキスタンと組む意向をにおわしていた。パキスタンの原子炉は大半が中国製だ。

 スリランカをめぐる中国との綱引きでは、モディは苦戦しそうだ。勝負の鍵を握るのは、中国の投資でコロンボ沖の埋め立て地で建設が進むポートシティー事業だろう。シリセナ政権は総額15億ドルのこの事業の中断を決定したが、中国は工事続行の圧力をかけている。ほかにも中国資本による港湾整備事業はめじろ押しで、シリセナは近々中国詣でを行うもようだ。

 モディは昨年5月の就任以来、周辺国との関係強化に取り組んできた。自らの就任式に南アジア地域協力連合(SAARC)加盟各国の元首を招待し、その後ブータン、ネパール、ミャンマーを訪問。来年11月にはSAARCの首脳会議に出席するためパキスタンの首都イスラマバードを訪れる予定だ。

 インドはモーリシャスをはじめSAARC非加盟のインド洋の島しょ国にも急接近を図っている。モディが野心的に進める近隣外交。問題は中国がどこまで黙って見ているかだ。

[2015年3月24日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

与党「地滑り的勝利」で高市トレード再開へ、日経6万

ワールド

高市首相、消費減税「やった方がいいと確信」 改憲は

ワールド

自民単独300議席超、「絶対安定多数」上回る 維新

ビジネス

自民大勝でも「放漫財政にならない」=片山財務相
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 2
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日本をどうしたいのか
  • 3
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予防のために、絶対にしてはいけないこととは?
  • 4
    韓国映画『しあわせな選択』 ニューズウィーク日本…
  • 5
    背中を制する者が身体を制する...関節と腱を壊さない…
  • 6
    心停止の8割は自宅で起きている──ドラマが広める危険…
  • 7
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 8
    まさに「灯台下暗し」...九州大学の研究チームが「大…
  • 9
    「右足全体が食われた」...突如ビーチに現れたサメが…
  • 10
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 3
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染拡大する可能性は? 感染症の専門家の見解
  • 4
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 5
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 6
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 7
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 8
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 9
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 10
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 8
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 9
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中