最新記事

レバノン

原油暴落でイスラム原理主義のヒズボラが破産?

2015年1月23日(金)12時12分
ジェフ・ニューマン

最悪だったタイミング

 しかも今回の資金難は、ヒズボラにとって最悪のタイミングだ。ヒズボラのある幹部がイスラエルの情報機関モサドのスパイだったことが発覚した上、シリア内戦では戦闘員1000人近くを失ったという。イスラム教スンニ派テロ組織ISIS(自称イスラム国、別名ISIL)やシリア反政府軍との戦いでヒズボラの果たす役割が大きくなるほど、人材と資金がさらに費やされる恐れがある。

 いずれにせよ、現在の「石油ショック」はヒズボラにとって最悪の経験だと、ワシントン中近東政策研究所のテロ対策専門家マシュー・レビットは言う。

 原油価格低迷の長期化が予想されるなか、資金難は極限まで進む可能性がある。今の段階では軍事予算に悪影響はないはずだが、シリアの前線で戦う戦闘員の不満は高まるかもしれない。

 資金難は社会サービスの段階的縮小にもつながり、政治的な支持者への支払いも滞る可能性がある。ヒズボラと手を組むイスラム教ドルーズ派のある政治家に流される資金は、月6万ドルから2万ドルに減った。

「ヒズボラは相当に憂慮していると思う」と、レビットは言う。「要求を満たしてくれる組織として、現地の期待を膨らませてきたのだから」。そう、国境沿いの丘に豪華な別荘が立ち並んだときのように。

[2015年1月27日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

EU首脳、ウクライナ財政支援で合意 ロシア資産の活

ワールド

OPEC、米のロシア石油大手制裁で減産縮小の用意=

ビジネス

ヘッジファンド運用資金が過去最高、第3四半期末で5

ビジネス

米フォード、通年利益見通しを引き下げ アルミ工場火
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 2
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシアに続くのは意外な「あの国」!?
  • 3
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺している動物は?
  • 4
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼…
  • 5
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 6
    国立大卒業生の外資への就職、その背景にある日本の…
  • 7
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月2…
  • 8
    汚物をまき散らすトランプに『トップガン』のミュー…
  • 9
    「石炭の時代は終わった」南アジア4カ国で進む、知ら…
  • 10
    【ムカつく、落ち込む】感情に振り回されず、気楽に…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 5
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 6
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 7
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 8
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 9
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼…
  • 10
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中