最新記事

北朝鮮

日米韓首脳会談で寂しくなった?金正恩

このタイミングで中距離ミサイル発射に踏み切った金正恩の心理を読み解く

2014年3月27日(木)17時28分
ジェフリー・ケイン

北を刺激? 日米韓は核の脅威に「共同戦線」で対抗するという Kevin Lamarque-Reuters

 北朝鮮の短距離ミサイル発射実験が時折ニュースになるのは、今に始まったことではない。だが2月下旬以降、その頻度が劇的に高まっている点は注目に値する。ロケット弾や短距離ミサイルがまるで打ち上げ花火のように相次いで発射され、3月22日には日本海に向けて短距離ミサイル30発が試験発射された。

 北朝鮮の挑発的な行為は、ここにきてさらに加速している。3月26日、「ノドン」とみられる中距離弾道ミサイル2発が平壌の北から発射され、朝鮮半島を横断して日本海に落ちた。国連安保理は緊急会合を開き、国連安保理決議への違反を非難する声明を出す見込みだ。

 北朝鮮はまだミサイルに搭載可能な小型核弾頭の開発に成功しておらず、ノドン発射は深刻な脅威にはならないというのが、大方の専門家の見方だ。とはいえノドンの射程は約1300キロあるため、理屈の上は日本のほぼ全域が射程圏内に入り、国内の米軍基地を狙うこともできる。
 
 金正恩(キム・ジョンウン)はなぜ、このタイミングで中距離ミサイル発射に踏み切ったのか。正確な理由を外部から言い当てるのは不可能だが、北朝鮮にとって不都合な事態がいくつか進行していたタイミングと一致するのは確かだ。

 1つは、朝鮮半島の有事に備えて毎年行われている米韓合同軍事演習が、今年も2月下旬に始まったこと。北朝鮮は北への侵略の準備だとして、演習の実施に激しく反発している。また3月26日は、韓国の海軍哨戒艦が北朝鮮の魚雷によって沈没させられたとされる日からちょうど4年の節目でもあった(北朝鮮は関与を否定)。

 3月25日にオランダ・ハーグでバラク・オバマ米大統領と日本の安倍普三首相、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領が会談したことが、北朝鮮を刺激した可能性もある。オバマは北朝鮮の核の脅威に対して、3国が「共同戦線」を取ると宣言した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:求人詐欺で戦場へ、ロシアの戦争に駆り出さ

ワールド

ロシアがキーウを大規模攻撃=ウクライナ当局

ワールド

ポーランドの2つの空港が一時閉鎖、ロシアのウクライ

ワールド

タイとカンボジアが停戦に合意=カンボジア国防省
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 8
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌…
  • 9
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 10
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中