最新記事

軍事

アメリカも恐れる? 中国海兵隊

台湾侵攻も可能な能力を目指す精鋭部隊はアジア米軍にとっての脅威になりつつある

2013年11月1日(金)12時49分
クリストファー・イサジウ

強襲作戦を担う 存在感を増す人民解放軍海軍陸戦隊 Joe Chan-Reuters

「パシフィック・ピボット(アジア大洋州重視戦略)」により、太平洋地域では米軍の配備強化が進んでいる。米海軍と海兵隊が想定するシナリオの1つが、中国人民解放軍の水陸両用部隊による台湾侵攻だ。

 中国が海から陸上部隊を投入する際に先陣を切るのが人民解放軍海軍陸戦隊(海兵隊)。2個旅団で構成される1万2000人の精鋭部隊だ。規模は小さいが、海軍と空軍の戦力に支えられ、中国とロシアの最新技術を取り入れている。

 陸戦隊はこれまで上陸作戦や空挺作戦の訓練を積んできた。初めは大掛かりな侵攻作戦を想定していたが、今は強襲作戦を担う緊急展開部隊へと進化している。

 とはいえ、まだ成長段階にあり、台湾海峡を渡って台湾に侵攻できるような能力には達していない。それでも、急激に実力を蓄えているのは確かだ。

 人民解放軍陸戦隊が誕生したのは53年4月。連隊規模だったのがやがて東海艦隊の指揮下で師団へと拡張した。一旦は武力による「台湾解放」方針の撤回に伴って解散となった後、70年代末に再結成されて今日に至っている。

 アメリカは中国陸戦隊に以前から注目してきた。領土拡張政策を取る中国の軍事動向に関して、米国防総省は既に10年の「中国の軍事力に関する年次報告書」で、台湾有事の可能性を危惧している。今年の報告書では、中国が台湾侵攻のために夜間や全天候の揚陸演習をしていると見なし、陸戦隊の戦力増強を予測した。

 実際、陸戦隊は中国で存在感を増すばかりだ。01年に人民解放軍海軍は大規模な強襲揚陸演習を行ってアメリカを驚かせた。最近は尖閣諸島や、フィリピンと領有権を争う南シナ海の海域で、陸戦隊の艦艇が「海洋調査演習」に参加。先月にはシリア沿岸に派遣された1万9000トン級の大型揚陸艦「井岡山」が紅海に到達した。

 陸戦隊は国連の平和維持活動やソマリア沖での国際的な海賊対策などにも積極的に参加している。つまり中国政府にとっては外交に貢献する貴重な戦力でもある。

 戦闘即応態勢を保持する人民解放軍陸戦隊は、今後も急拡大を続け、頻繁に配備されるだろう。アメリカのアジア戦略において決して侮れない存在となっている。

[2013年10月29日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

独失業者数、2月は小幅増 失業率6.3%で横ばい

ワールド

インドGDP、10─12月7.8%増に鈍化 消費は

ビジネス

三菱UFJAMの「オルカン」、純資産総額で「S&P

ワールド

米国民「黄金時代」に懐疑的、68%が「経済活況」同
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 2
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 3
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルーの大スキャンダルを招いた「女王の寵愛」とは
  • 4
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石…
  • 5
    戦術は進化しても戦局が動かない地獄──ロシア・ウク…
  • 6
    住宅の4~5割が空き家になる地域も......今後30年で…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 9
    「まるで別人...」ジョニー・デップの激変ぶりにネッ…
  • 10
    ウクライナが国産ミサイル「フラミンゴ」でロシア軍…
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 3
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 4
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 9
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 10
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中