最新記事

南アジア

再燃した印パ間のカシミール紛争

今年に入り、停戦ライン付近で軍事衝突が続発。インドとパキスタンの領有権争いも一触即発か

2013年1月16日(水)16時20分
ファイン・グリーンウッド

非難合戦 死んだ兵士の一人は首を切り落とされていたと、インドのシン首相は激怒する Mukesh Gupta-Reuters

 インドとパキスタンの独立以来、両国間で領有権争いが続いているカシミールをめぐり、再び緊張が高まっている。今月6日以降、停戦ライン付近で交戦が続き、相方の兵士に死者が出ている。

 インドのマンモハン・シン首相は今週、もはや平時で対応ではすまないと態度を硬化させた。昨日、「軍隊の日」の式典で報道陣と会談したシンは、交戦でインド兵士2人が命を落としたことについて「責任者にはしかるべき責任を取らせる。パキスタンは覚悟すべきだ」と語った。とりわけインド兵の1人が頭部を切断されたと報じられたことについて「野蛮な行為で、容認できない」とパキスタンを非難した。

 一方パキスタン軍は、インド側がパキスタンの国境監視所を攻撃して兵士1人を殺害したと主張している。パキスタン側によれば死亡したのは、妻と3人の娘がいる兵士ナイク・アシュラフで、「理由なき攻撃」だったという。

 カシミールをめぐる交戦では、今年に入って既にパキスタン兵士3人とインド兵士2人が死亡した。

 パキスタン側はインド兵士2人の死亡について責任を否定し、停戦ラインを違法に越えてインド側に侵攻した事実は無いと主張している。

 今週は両国代表による会談が国境地帯で行われたが、インド側の謝罪要求をパキスタン側が拒否。進展はほとんどなかった。パキスタン側が国境侵犯を継続するなら「好きな時に報復に出る権利がある」と、インドは警告している。

 インド社会でも反パキスタン感情の高まっており、インド・ホッケー協会は新リーグで競技する事が決まっていたパキスタン人選手9人を、解雇せざるを得なくなった。

From GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ドイツ銀、第3四半期は黒字回復 訴訟引当金戻し入れ

ビジネス

JDI、中国安徽省の工場立ち上げで最終契約に至らず

ビジネス

ボルボ・カーズの第3四半期、利益予想上回る 通年見

ビジネス

午後3時のドルは152円前半、「トランプトレード」
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:米大統領選 イスラエルリスク
特集:米大統領選 イスラエルリスク
2024年10月29日号(10/22発売)

イスラエル支持でカマラ・ハリスが失う「イスラム教徒票」が大統領選の勝負を分ける

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 2
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」ものはどれ?
  • 3
    リアリストが日本被団協のノーベル平和賞受賞に思うこと
  • 4
    逃げ場はゼロ...ロシア軍の演習場を襲うウクライナ「…
  • 5
    トルコの古代遺跡に「ペルセウス座流星群」が降り注ぐ
  • 6
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア…
  • 7
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の…
  • 8
    中国経済が失速しても世界経済の底は抜けない
  • 9
    ウクライナ兵捕虜を処刑し始めたロシア軍。怖がらせ…
  • 10
    「ハリスがバイデンにクーデター」「ライオンのトレ…
  • 1
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 2
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の北朝鮮兵による「ブリヤート特別大隊」を待つ激戦地
  • 3
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア兵の正面に「竜の歯」 夜間に何者かが設置か(クルスク州)
  • 4
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料…
  • 5
    目撃された真っ白な「謎のキツネ」? 専門家も驚くそ…
  • 6
    ウクライナ兵捕虜を処刑し始めたロシア軍。怖がらせ…
  • 7
    逃げ場はゼロ...ロシア軍の演習場を襲うウクライナ「…
  • 8
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 9
    裁判沙汰になった300年前の沈没船、残骸発見→最新調…
  • 10
    北朝鮮を訪問したプーチン、金正恩の隣で「ものすご…
  • 1
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 2
    「地球が作り得る最大のハリケーン」が間もなくフロリダ上陸、「避難しなければ死ぬ」レベル
  • 3
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 4
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の…
  • 5
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア…
  • 6
    ウクライナに供与したF16がまた墜落?活躍する姿はど…
  • 7
    漫画、アニメの「次」のコンテンツは中国もうらやむ…
  • 8
    エジプト「叫ぶ女性ミイラ」の謎解明...最新技術が明…
  • 9
    ウクライナ軍、ドローンに続く「新兵器」と期待する…
  • 10
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中