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中東和平停戦交渉を仲介したエジプトの綱渡り
イスラエルとハマスを何とか停戦に導いたものの、停戦はすぐに破られエジプトはまた忙しくなる、の繰り返しだろう
重責 エジプトを訪問したクリントン米国務長官と停戦の可能性を探るモルシ大統領 Egyptian Presidency-Reuters
パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスとイスラエルは21日、停戦に合意した。仲介役のエジプトの苦労は並大抵のものではなかったはずだ。何しろ合意直前まで、イスラエルのテルアビブではハマスがバス爆破テロを起こし、イスラエルも猛攻撃を仕掛ける有り様だった。
そもそも停戦の約束は何の慰めにもならない。過去10年以上にわたり、イスラエルもハマスも数えきれないぐらい停戦を踏みにじってきた。
ここ数年のエジプトの仲介実績はひいき目に見てもムラがあり、停戦から一気に手の付けられない報復攻撃合戦に発展することもしばしばだった。
特に05年にイスラエルがガザから撤退してから、ハマスもイスラエルも直接交渉を拒否したため、停戦交渉は一段と難しくなり、間を取り持つことができるのはエジプトだけになってしまった。
エジプトは、パレスチナ人とイスラエル人の仲介役として長い歴史をもつ。とくに00年代初め以降、交戦の主舞台がヨルダン川西岸からエジプトと国境を接するガザに移ったことから、ハマスとのパイプも太いエジプトが調停役をヨルダンから引き継いだ。
停戦に合意していない勢力も
もちろんエジプトにも、ハマスと、ハマスの設立母体であるエジプトのムスリム同胞団の関係を監視できるというメリットがあった。
最近では、ハマスはシナイ半島を拠点にする反エジプト政府の過激派ともつながりを強めており、エジプトとしてはますますハマスから目が離せない状況だ。
イスラエル国境に近いエジプト領シナイ半島で暴力行為が増えていることも、エジプトがイスラエルとハマスの間の安定を維持したい理由だ。
イスラエルのテルアビブを拠点に地政学的な危機コンサルティングを行うMAXセキュリティ・ソリューションズの諜報部門長、ダニエル・ニスマンは、「エジプトは、ガザ地区南部を拠点にするイスラム聖戦士を取り締まれる強いハマスを必要としている」と言う。「彼らはシナイ半島での暴力行為と深い関わりがある」
だが先週の混乱で、仲介の役割がいかに困難かが改めて明らかになった。
ただ政治的な展望は、ここ1年で大きく変わってきている。ムバラク独裁体制が崩壊した後のエジプトを統治しているのは、元反政府勢力でハマスに賛同するムスリム同胞団だ。
専門家らによれば、ムハンマド・モルシ大統領は綱渡りの状態にある。調停役としてのエジプトの役割を引き受けるだけでなく、断固として反イスラエルを貫くエジプト人の民意にも配慮しなければならないからだ。
ひとまず停戦が成ったとはいえ、ガザのすべての武装勢力が合意に参加しているわけではなく、イスラエルへの砲撃は続く可能性も指摘されている。今回もまた、エジプトの努力が水泡に帰す可能性は否定できない。
From GlobalPost.com特約