最新記事

弾圧

ロシアの反プーチン派にまた奇怪な容疑

汚職批判を続けてきた有力ブロガーが横領の罪で告発された。背後には、反対派の取り締まりを強化するプーチンの影がチラつく

2012年8月1日(水)17時57分
マリヤ・カリムジー

濡れ衣? 木材横領容疑で取り調べを受けた反体制活動家ナバルニー(7月30日、モスクワ) Maxim Shemetov-Reuters

 ロシアの反汚職活動家として、役人たちの大掛かりな汚職の証拠をインターネット上で暴露してきた弁護士のアレクセイ・ナバルニーが7月31日、当局から横領の罪で起訴された(一度取り下げられた告発が、再び持ち出された)。これで、ロシアの反体制運動で最重要と目される人物の1人が、10年ほど刑務所に閉じ込められることになるかもしれない。

 ナバルニーにかけられた容疑は09年、中部キーロフ州政府で非公式の顧問を務めていたとき、国営企業から木材を盗む計画をまとめていたというもの。これにより州の予算に、50万ドル相当の被害を与えたという。

 今年に入って、ウラジーミル・プーチン大統領批判の先頭に立つナバルニーのような活動家に対する取り締まりが立て続けに起きている。ナバルニー本人によれば、プーチンが大統領に就任する前日の5月6日、警官隊と大規模デモ隊が衝突した後に今回の告発の動きが出てきたという。

 ナバルニーは自身への嫌疑はでたらめだと言い、ミハイル・ホドルコフスキーの例を引き合いに出した。ホドルコフスキーはロシアの石油王で、プーチンのライバルと目されていた人物だが03年以来、脱税の容疑で収監されている。

「ホドルコフスキーがロシアのすべての石油を盗み、ナバルニーがすべての木材を盗んだというような戯言は、現在(ロシアで)起きていることを示している」と、ナバルニーはニューヨークタイムズ紙に語った。「テレビのニュースでナバルニーが1600万ルーブル(約3800万円)を盗んだと報じて、私の評判を落とすことが目的だ」

反対勢力の取り締まり法が続々

 だがAFPによれば、キーロフ州知事のニキータ・ベールイフは政治的圧力によるものとみて、今回の訴えを却下したという。地元の捜査当局は、ナバルニーは何の罪も犯していないという結論に達した、とベールイフは語っている。

 対する捜査当局は、ナバルニーに対する2つの訴因を主張している。「組織的または大規模に行われた不正流用、もしくは着服」だ。

 大統領に返り咲いてから3カ月近く、プーチンは反対勢力を厳しく取り締まるための法的な枠組みを作り上げてきた。外国や外国機関、外国人から資金提供を受けて政治活動を行うNGOを、「外国の代理人」に指定する法案を可決。活動内容などを報告するよう義務付けた。また、特定のサイトをブラックリストに登録するという、インターネットの自由を損なうおそれがある法律も成立させた。

From GlobalPost.com

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア、イラン指導者殺害を非難 米・イスラエル攻撃

ワールド

中国、中東での停戦仲介継続へ=外相

ビジネス

ウニクレディトCEO、コメルツ銀への提案条件改善を

ワールド

レバノンで毎日1クラス分の子ども死傷、ユニセフが緊
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 2
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 3
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 4
    住宅建設予定地に眠っていた「大量の埋蔵金」...現在…
  • 5
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 6
    モジタバの最高指導者就任は国民への「最大の侮辱」.…
  • 7
    「ネタニヤフの指が6本」はなぜ死亡説につながったの…
  • 8
    ガソリン価格はどこまで上がるのか? 専門家が語る…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    「危険な距離まで...」豪ヘリに中国海軍ヘリが異常接…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 3
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製をモデルにした米国製ドローンを投入
  • 4
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 5
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 6
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 7
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 8
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 9
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 10
    住宅建設予定地に眠っていた「大量の埋蔵金」...現在…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中