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現地取材

限界に達した避難所ストレス

「東北人は我慢強い」の言葉に隠れた現実──避難所では人々のストレスが極限に達し、不信感に形を変えてその心をむしばんでいる

2011年5月19日(木)10時11分
小暮聡子(本誌記者)

 東日本大震災の発生から2カ月が過ぎた今、日本人の目に被災地の様子はどう映っているだろうか。

 避難所の物資不足は解消され、仮設住宅の建設が始まり、被災者同士が力を合わせて新しい生活に向けた一歩を踏み出す。彼らの我慢強さに被災していない人も元気をもらい、日本が1つになって復興に向けて歩み始める──。

 こういった物語の一つ一つは真実かもしれない。だが被災地を歩くと、これとは違った「物語」がいまだに拾われないままいくつも転がっている。将来が見えず、プライバシーもない避難所生活のストレス増加も報じられてはいるが、その伝え方はほとんどが表面的だ。被災者の本音を置き去りにしたまま、被災していない人たちが「寄り添う」ことなどできるのだろうか。

「ちょっとアンタ、どこの人?」今月初め、深刻な津波被害を受けた宮城県内のある地区で200人規模の避難所を取材していたときのこと。建物の中を歩いていると、ある高齢女性に呼び止められた。こちらが身分を名乗ると、「物取りがいるからね。知らない人だと怖いんだよ」と、警戒心をあらわにした理由を説明した。...本文続く

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