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中国のグリーン化は過大評価

2010年8月30日(月)11時44分
メリンダ・リウ(北京支局長)

 中国政府は8月9日、環境汚染を招いている工場施設2000カ所以上を9月末までに閉鎖すると発表した。これは世界各国の環境政策において、中国がトップに立ちつつあることの表れなのか。最近では、中国のエコ技術はアメリカの先を行っているともいわれる。

 だが実際は、中国のグリーン化は過大評価されている。最新の調査によれば、今年上半期の中国の大気汚染は過去5年間で最悪の水準にまで悪化。酸性雨は全国440都市中200都市で確認された。

 しかも今年4〜6月の中国のクリーン技術向け投資額は世界全体の2%で、アメリカの10分の1程度だった。中国政府は環境に優しい設備への移行を進めているが、自動車の急増や景気回復に伴う産業汚染の悪化に追い付いていない。

 北京では平日の間、自家用車の5分の1の使用を制限する規制が敷かれ、一時は青空が戻った。だが現在は自動車が増え過ぎて規制の意味がなくなっている。今年1〜4月だけで北京では25万台の新車が発売された。

 中国政府がグリーン化を進めたくても、エネルギー消費と工業的な需要の増加という壁が立ちはだかる。そして残念ながら、中国のみならず全世界がこの戦いに敗れる公算が高い。

[2010年9月 1日号掲載]

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