最新記事

ネット

中国ポルノサイト開放の裏にあるもの

2010年8月6日(金)11時33分
トーマス・ムチャ

 中国はポルノサイトを受け入れたのか。5月から YouPorn や PornHub といった有名ポルノサイトの閲覧が可能になった。政府はこれまでジレンマを抱えながらネット規制を敷いてきた。ネットの利点を活用して経済成長につなげたいと考える一方、言論統制は弱めまいと天安門事件やチベット自治区など微妙な問題については厳しい検閲を行ってきた。だがそのせいでグーグルなど外国企業との関係は悪化した。

 では今回のポルノサイト規制緩和の裏には何があるのか。政府が何の声明も出していないので正確なことは分からない。成長の伸びが減速するなど不安も見え始めた経済や、政治的な問題から国民の目をそらす狙いがあるのかもしれない。

 他方、これは中国社会の変化を象徴するもので、中流層の誕生とともに「性革命」が起きているとみるほうが妥当かもしれない。「大人のおもちゃ」を売る店は現在20万店、年間総売り上げは15億ドルと推定される。6月に上海大学の卒業生を対象に行われた調査では、回答者の70%が「一夜限りのセックス」に理解を示した。

 こうしてみると、ポルノサイト解禁は驚くことではない。社会と経済と政治情勢の激変に、政府が「大人な」対応を示したようだ。

GlobalPost.com特約)

[2010年8月11日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

世界のエネルギー部門CO2排出量、4年連続で過去最

ビジネス

ネスレ米法人、合成着色料の使用停止へ 26年半ばま

ビジネス

製菓マースのケラノバ買収、米独禁当局が承認 EUは

ビジネス

親子上場、大いに促進すべき=孫ソフトバンクG会長
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本のCEO
特集:世界が尊敬する日本のCEO
2025年7月 1日号(6/24発売)

不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者......その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係・仕事で後悔しないために
  • 3
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々と撤退へ
  • 4
    人口世界一のインドに迫る少子高齢化の波、学校閉鎖…
  • 5
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 6
    【クイズ】北大で国内初確認か...世界で最も危険な植…
  • 7
    「子どもが花嫁にされそうに...」ディズニーランド・…
  • 8
    都議選千代田区選挙区を制した「ユーチューバー」佐…
  • 9
    韓国が「養子輸出大国だった」という不都合すぎる事…
  • 10
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 4
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 7
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 8
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 9
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 10
    「アメリカにディズニー旅行」は夢のまた夢?...ディ…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中