最新記事

新型インフル

パンデミックはでっち上げ?

2010年1月29日(金)13時18分
山田敏弘

 世界を襲い、WHO(世界保健機関)のパンデミック(世界的大流行)宣言にも影響を及ぼした新型インフルエンザの脅威は薬剤メーカーがあおったものだった──。専門家のそんな主張が今、ヨーロッパを中心に物議を醸している。

 WHOと製薬メーカーの癒着を指摘しているのは、欧州会議保健委員会のウォルフガング・ウォダーグ委員長。呼吸器学が専門で伝染病学者でもあるウォダーグは、ワクチンを製造する薬剤メーカーがWHOや政府関係者に働きかけたことを示す「多くの情報が私の元に集まっている」と言う。

 欧州会議は1月12日、WHOと製薬メーカーの癒着への調査を開始すると発表。26日から企業や国への捜査と公聴会などが行われる予定だ。

 新型インフルエンザに関しては、世界全体で莫大な数のワクチンが発注され、各国がタミフルなどの薬の備蓄に走る混乱が起きた。しかし現在では多くの国が過剰発注で頭を悩ませている。

 「新型インフルエンザは今世紀最大の薬剤スキャンダルの1つだ」とウォダーグは言う。「比較的軽いインフルエンザが発生しただけ。パンデミック宣言は誤りだ」

 これに対してWHOは記者会見で、「世界はパンデミックの最中にあり、でっち上げと主張するのは無責任だ」と反論した。今月末には欧州会議で緊急の追加審議が行われる予定。これからさらに疑惑の渦が広がるかもしれない。

[2010年2月 3日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ECB総裁が任期満了前に退任とFT報道、仏大統領在

ワールド

ウクライナ和平協議、2日目は2時間で終了 「困難な

ビジネス

英CPI、1月は前年比+3.0% 昨年3月以来の低

ワールド

エプスタイン文書、米エリートへの不信鮮明に=世論調
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 2
    ポーランドが「核武装」に意欲、NATO諸国も米国の核の傘を信用できず
  • 3
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」でソフトウェア株総崩れの中、投資マネーの新潮流は?
  • 4
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 5
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 6
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 7
    川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に─…
  • 8
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 9
    極超音速ミサイルが通常戦力化する世界では、グリー…
  • 10
    生き返ったワグネルの「影」、NATO内部に浸透か
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発される中国のスパイ、今度はギリシャで御用
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 8
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 9
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 10
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中