最新記事

軍事

激化する無人機空爆の波紋

2009年10月28日(水)18時11分
マーク・ホーゼンボール(ワシントン支局)

標的はアルカイダ上層部だけ?

 大半の米政府関係者はこの問題について口をつぐんでいるが、なかには民間人の犠牲者に関する最近の報道の正確性を疑問視する者もいる。ある米政府関係者は、次のように語った。

「パキスタンにおける無人機攻撃で生じた非戦闘員の犠牲者数が最近報じられているが、もっぱらは推測で、現実とかけ離れている。ただし報道自体は多くの事実を示唆している。例えば(無人機攻撃が)基本的に武装勢力のいる地域で行われていることは、地元住民が証言している」

「外国出身の戦闘員が死傷したとか、過激派が周辺地域を封鎖しているという証言もよく出てくる。民間人に大量の犠牲者が出たという主張は、(反米的な国々やオバマ政権に批判的な政治家からも)聞かれない。そんなことは起きないからだ」

 さらにこの人物はこう語った。「アメリカと同盟国は何年にもわたって、アルカイダ上層部に対して強硬な措置を取ってきた。われわれが標的にしてきたのは作戦立案者や武器の専門家、司令官、それにテロリスト支援者だ」

「アルカイダは(死傷者が出ても)別の人間で穴埋めはできるし、今も深刻な脅威であることに変わりはない。だが専門的な技術や能力をもつ人材を失えば、作戦が遅れたり瓦解したりして、組織の結束は低下し、生き残ったメンバーの間の信頼関係も弱くなる」

 CIAのポール・ジミグリアーノ広報官は次のように語った。「CIAは合法的かつ極めて正確で、実戦で効果を立証済みの戦術と手段を採用している。アルカイダは今も危険な存在で戦闘の意思も固いが、リーダーシップや防衛力、戦闘力のすべてが弱まっている」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン大統領、16年ぶりにスリランカ訪問 「関係強

ワールド

イランとパキスタン、国連安保理にイスラエルに対する

ワールド

ロシア、国防次官を収賄容疑で拘束 ショイグ国防相の

ワールド

インドネシア中銀、予想外の利上げ 通貨支援へ「先を
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 6

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 7

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 8

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 9

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 10

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 10

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中