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未来の戦場は無人機だらけ?

2009年7月14日(火)18時20分
ケーティー・ポール

 いま最もホットな武器は無人航空機だろう。人間を乗せずに衛星通信で操作する無人機は国防費の予算削減のあおりを受けず、逆に各国に広まりつつある。アメリカ以外にイギリス、カナダ、トルコ、スウェーデン、ロシアが導入、あるいはテストしている。

 偵察用だけでなくミサイルを搭載したものもあり、米軍によるアフガニスタンとパキスタンでの無人機の使用は過去2年間で約2倍になった。人権擁護団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は6月30日、イスラエル軍が昨冬 のガザ地区攻撃で、無人機を使って市民29人を殺害したと非難した。

 無人機は長い目で見れば民間人の犠牲を減らせる可能性もある。HRWの報告書は無人機を「(イスラエルの)最も正確な武器」の1つと呼ぶ。ピンポイントでミサイルを撃ち込めるので、巻き添えになる市民を減らせるというのだ。

「将来的には米軍機はすべて無人になるだろう」と、HRWの報告書を書いた国防総省出身のマーク・ガラスコは言う。「軍にとって多くの利点がある」

 最終目標は人間が無人機を遠隔操作せず、プログラムによって攻撃させることだとガラスコは言う。03年のイラク戦争ではこうした爆弾が戦車に対して使われた。

 今のところ、ミサイル発射というつらい決断は人間が下している。だが無人機が暴走したら誰が責任を担うのか。プログラマーか、計画を承認した議員か。それともほかの誰かなのだろうか。

[2009年7月15日号掲載]

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