最新記事

欧州

ナイスガイに首相が務まるか

高い人気を誇る保守党党首デービッド・キャメロンが経済危機で「資質」問題に直面

2009年4月7日(火)16時12分
ストライカー・マグワイヤー(ロンドン支局長)、デービッド・メルリンジョーンズ

 イギリスのゴードン・ブラウン首相は今月初めにアメリカを訪れ、上下両院の合同会議で自信たっぷり、見事な演説を行った。実に見事で、とても「事実上は過去の人」には見えなかった。

 しかしイギリスの世論は、すでにブラウンに引導を渡したようだ。各種調査でも専門家の観測でも、来年6月までに実施される総選挙では野党・保守党による政権奪還の可能性が高い。

 保守党には朗報だろうが、若き党首デービッド・キャメロン(42)には試練の時だ。彼には今まで以上に厳しい目が向けられる。もはや単なる野党党首ではなく「次期首相」なのだから。この若者に任せれば、果たして未曾有の経済危機を乗り切れるのだろうか。

 今のところは追い風が吹いている。各種の世論調査で、保守党は常に10〜20%のリードを保っている。しかし、具体的な政策が見えないという声は党内にもある。

 キャメロンは党首になってから3年ちょっと、下院議員としてのキャリアは8年にも満たない。確かに人気は抜群だが、何を考えているかはよく見えない。保守党のホームページには膨大な政策文書が載っているが、どれがキャメロンの考えなのか。

 昨年夏までは、政権獲得の道は平坦と思われていた。10年以上も続いた労働党政権には国民も飽きている。現職のブラウンは前任者トニー・ブレアのような輝きがないし、選挙の洗礼も受けていない。これなら保守党の楽勝だ......。

 しかし昨年9月以降の世界的な金融危機で状況は一変した。イギリス経済に対する国民の不安が恐怖に変わるなかで、キャメロンは態度を明確にできなかった。政府による金融機関の救済案に対しても迷いを見せた。

 そのせいで、ブラウン首相(自他ともに認める財政のプロだ)からは「何もしない保守党」と批判された。かつてブラウンを「優柔不断」と非難していたキャメロンに、同じ烙印が押された。

 しかし金融危機が深刻化してブラウンの危機管理能力が疑問視されるなか、キャメロン陣営は徐々にだが失地回復へと動きはじめた。学者肌で退屈なブラウンに対抗して、キャメロン率いる保守党は「真剣さ」と「経験」を前面に押し出そうとしている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ミネソタ州に兵士1500人派遣も、国防総省が準備命

ワールド

EUとメルコスルがFTAに署名、25年間にわたる交

ワールド

トランプ氏、各国に10億ドル拠出要求 新国際機関構

ワールド

米政権、ベネズエラ内相と接触 マドゥロ氏拘束前から
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰に地政学リスク、その圧倒的な強みとは?
  • 2
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で国境問題が再燃
  • 3
    DNAが「全て」ではなかった...親の「後天的な特徴」も子に受け継がれ、体質や発症リスクに影響 群馬大グループが発表
  • 4
    シャーロット英王女、「カリスマ的な貫禄」を見せつ…
  • 5
    AIがついに人類に「牙をむいた」...中国系組織の「サ…
  • 6
    「リラックス」は体を壊す...ケガを防ぐ「しなやかな…
  • 7
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 8
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 9
    中国ネトウヨが「盗賊」と呼んだ大英博物館に感謝し…
  • 10
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 6
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 7
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 8
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 9
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 10
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中