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米財政共和党の予算削減で7万人の子供が死ぬ
期限切れを前に予算審議が難航する米議会で、共和党がオバマに突きつけた援助大幅削減の近視眼度
頼みの綱 ハイチの首都ポルトープランスでUSAIDから支給された米袋を運ぶ女性 Carlos Barria-Reuters
米議会では予算をめぐって与野党の攻防が続いている。そんななか米国際開発庁(USAID)のラジブ・シャー長官は3月30日、共和党の予算案はアメリカによる食料・医療支援に頼って生きている世界の子供たちの死につながると下院の小委員会で訴えた。「H.R.1案は7万人の子供たちの死につながるだろう。しかもこれは非常に控えめな試算だ」
「7万人のうち3万人はマラリア対策の規模縮小によるもの。予防接種などへの援助が途絶えることで2万4000人、そして助産師の不足による1万6000人だ」
既に下院を通過した共和党の予算案H.R.1は、11年度(10年10月〜11年9月)の残りの予算を決定するものだ。これは事実上、オバマ政権が提示した11年度の予算要求から16%をカットすることになる。
ジェシー・ジャクソンJr.下院議員(民主党)は、H.R.1では国際災害援助(IDA)に充てられる予算は4億3000万ドルだと指摘する。これはオバマの11年度予算要求の半分で、10年度からは67%のカットになる。
シャーは、こうした削減により「アメリカの人道支援活動が、この数十年で最も劇的な後退をみることになるだろう」と語る。IDAからはダルフールでの160万人への支援費が出されており、これを半分にすることは80万人の命を危険にさらすことになると言う。予算削減は「貧困や紛争地で暮らす人々への食糧や医療支援プログラムの大幅な縮小を招く」
途上国支援は米経済にも寄与
シャーはさらに、オバマ政権の12年度予算要求も擁護した。こちらも議会で削減の危機にさらされているものだ。小委員会委員長を務めるケイ・グレンジャー下院議員(共和党)は、12年度予算要求は最初から否決が明らかだとしている。
「私はこうした支援プログラムの重要性を理解しているが......、現在の予算を取り巻く環境を考えれば非現実的だ」とグレンジャーは述べた。「過去に予算を出したところすべてに予算をつけることはできない。そしてもちろん、重複し無駄なプログラムに資金を出し続けることはできない」
グレンジャーは、安全保障に関連したり、イラクやアフガニスタン、パキスタンで進行中の軍事活動に寄与するUSAIDのプログラムは支持すると言う。
一方、ニタ・ロイ下院議員(民主党)は、イラクやアフガニスタンに限らず世界のどこであろうと不安定な地域があればアメリカの安全保障の脅威になると主張した。「USAIDへの大幅な予算カットは世界情勢の不安定化につながりかねない。そうなれば米兵の命や、わが国の富が危険にさらされるだろう」
シャーは、対外援助は長期的にみれば米経済にとっても極めて重要だと論じた。アメリカの商品が消費される市場を育てることになるからだ。「USAIDの任務は米経済にも寄与する。世界経済のピラミッドの底辺にいる消費者との関係を築くことにより、新興市場への米企業の参入が容易になる。輸出の促進や雇用の創出につながるのだ」
Reprinted with permission from "The Cable", 29/01/2010. © 2010 by The Washington Post Company.