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キリスト教

反モスク聖職者の無差別説教テロ

2010年9月7日(火)18時35分
マッケイ・コピンズ

 彼は注目を集める言動でマスコミを驚かせて、キャリアを築いてきた。2008年大統領選の予備選では、「ミット・ロムニーに投票するのは悪魔に投票するのと同じ」という広告キャンペーンを立ち上げ、CNNと保守系テレビ局フォックステレビの両方から取材を受けた。
 
 全米にテレビ放映されていたケラーの番組は、イスラム教徒への辛辣な批判のせいで中止に追い込まれ、伝道師としての仕事の場はウェブサイトやフロリダの小さな地方テレビ局の番組だけになってしまった。それだけに、ケラーはメディアに取り上げられることが成功の秘訣だと強く認識している。

 礼拝を取材していたあるブロガーは最近、テレビ番組でケラーについて激しく非難したが、翌日ケラーからお礼状が届いたという。「彼はマスコミが大好きなんだ」と、このブロガーは言っていた。

 ケラーは会見であらゆる質問に答えたが、それでも一つ疑問が残った。9.11キリスト教センターというこの場所は、魂を救済するための真面目な取り組みなのか。それとも、イスラム教社会を苛立たせるための皮肉にすぎないのかという疑問だ。

 ケラーは、自分の行動は神の愛に導かれていると主張する。「私が人間嫌いだったなら、自宅のプールサイドに寝そべって、『私は救済された。他の奴らのことなんて知るものか』と言っている。私は人々の魂を救うためにここにいる」

 それにしても、ケラーが魂を救済している「人々」とはいったい誰のことだろう。彼は礼拝の最後に、ある集団について特別に言及した。

「神よ、この初めての場に多くの記者が集まっているのは、いいことだ。彼らが自問することを祈ろう。次の瞬間に心臓が止まっても天国へ行ける自分だろうかと」

 私はケラーに「地獄のカルト宗教」といわれたモルモン教の信者だから、地獄に引きずりこまれるかもしれない。だが、私はマスコミの一員でもある。それなら、ケラーが私のために祈ってくれるのは間違いない。

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