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医療保険改革

オバマと製薬業界のための医療改革

2009年10月14日(水)18時34分
ハワード・ファインマン(ワシントン支局)

公的医療保険には多大な負担

 もっとも、彼らが交渉のテーブルにとどまる本当の理由は、政府によって保険加入を義務づけられる(そしてたいていの場合、税金の支援を受ける)数千万人の人々の獲得をねらっているからだ。さらに、各業界に投じられている公的資金の大幅削減を阻止する狙いもある。

 これが、オバマの改革の現状だ。つまり、状況はこれまでと何も変わっていない。

 13日に可決された上院財政委員会の法案は、メディケアに多大な負担を求める一方、民間保険会社には非常に甘いものだった。

 高齢者が多いフロリダ州選出のビル・ネルソン上院議員(民主党)は、大手製薬会社の足を引っ張るなというメモを受け取らなかったらしい。彼は、製薬会社に不利になる2つの修正案を上院財政委員会に提出しようとした。

 トーザンにとっては嬉しくない話だ。そして、オバマ政権にとっても困った事態だ。

 ネルソンはまず、一方の修正案を撤回するよう説得された。さらに、オバマの側近であるジム・メシナが委員会のメンバーに電話で失望の意を伝えると、結局もう一つの修正案も否決された。

 民主党は、今回の法案可決を「勝利」だとして祝賀ムードに酔っている。唯一、敗れたのはアメリカ国民だ。もっとも、国民はテーブルに着いてさえいなかったが。

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