「AIは丁寧に接するといい仕事をする」は本当か? メリットもあるが「余計なコスト」がかかるかも
Mind Your Manners
実際、チャットGPTに「お願いします」や「ありがとう」と言えば、よい回答を得られるかもしれないというエビデンスがある。
マイクロソフトのAI「コパイロット」の開発に関するメモで、デザインチームディレクターのカーティス・ビーバーズは、利用者が礼儀正しく接すればAIはそれをまねるから、AIの回答も親切で役に立つものになると書いた。「礼儀正しい言葉遣いは回答のトーンを決める」と、ビーバーズは言う。「AIとのやりとりで基本的な礼儀を守れば、敬意に満ちて協力的な回答につながりやすくなる」
コストは余計にかかるが
それだけでなく「AIの応答のよさやパフォーマンスも高める」と、ビーバーズは言う。これには数字の裏付けがある。早稲田大学のチームが昨年、3つの言語を使用する大規模言語モデル(LLM)を対象に行った研究によると、失礼な接し方をするとAIのパフォーマンスが30%低下した。だが礼儀正しくするとエラーが減り、異なるソースからより多くの情報を提供する回答が得られた。
「この現象は、LLMが人間の行動を反映するだけでなく、言語──特に異なる文化的背景を持つ言語から影響を受けることを示唆している」と、論文は結論付けている。