「AIは丁寧に接するといい仕事をする」は本当か? メリットもあるが「余計なコスト」がかかるかも
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普通は「お願いします」や「ありがとう」という言葉を処理することで、チャットGPTのコストが増えるとは思わないだろう。だが、オープンAIのサム・アルトマンCEOの見方は違う。
「お願いします」と「ありがとう」を処理するのに、どのくらいの電気代がかかるのかという質問に、アルトマンは「数千万ドルがかかっているかもしれないが、価値ある支出だ。将来、何が起こるか分からないから」と答えた。
冗談めかしたコメントだが、これはごく小さな要素を追加しただけでAIが多くのリソースを消費することを示している。米国電力研究所は3月の報告書で、チャットGPTに質問するとグーグルに同じ質問をしたときの約10倍のコストがかかると推定した。
環境面のコストもある。2020年代に入ってデータセンターの整備が進んだことで、テック大手の二酸化炭素(CO2)排出量は大きく増加した。グーグルは昨年のレポートで、23年の排出量が19年より48%増えたと報告し、「主にデータセンターのエネルギー消費とサプライチェーンの排出の増加による」とした。
インドのパトナ大学のアジト・シンが今年書いた論文によれば、オープンAIが開発した高性能の言語モデルGPT-3のトレーニングでは約36万8640キロワット時のエネルギーを消費した。またCO2約147トン分が排出されたとされる。米環境保護庁によれば、この数字は31世帯分の電気使用による年間CO2排出量に相当する。