大西洋航路の往復運賃「5000ドル」の旅...21世紀の「超音速」旅客機は夢か現実か

FLIGHT OF FANCY

2025年5月12日(月)09時48分
シオ・バーマン(本誌記者)

しかし、ローレンスは「SAF自体が誤った解決策だ」と切り捨てる。

「いくら素材がバイオ系でも、燃やせば二酸化炭素が出る。それに今の航空業界が必要とするほどの量を生産するのは無理で、持続可能には程遠い」からだ。

さらにローレンスは「ブーム社の試算でも、オーバーチュアは通常の亜音速機に比べて、ファーストクラスの乗客1人当たり2〜3倍の燃料を消費するそうだ」とも言う。

いずれにせよ、ブーム社としては4年以内に実用レベルの機体を完成させる計画だ。予定どおりなら20年代末までに商用飛行が可能になる。

既に米ユナイテッド航空やアメリカン航空に加え、日本航空もオーバーチュアの優先発注権を取得しており、発注と発注予約を合わせると130機、潜在需要は1000機に達するという。ちなみにコンコルドは全部で20機しか製造されなかった。


完成前に落ちた超音速旅客機もある。21年には米アエリオン・スーパーソニックが多額の支援にもかかわらず経営破綻。24年には米エクソソニックも撤退を決めた。

エクソソニックのノリス・タイCEOは、後にこう語っている。

「ブーム社は80億ドルあれば超音速機を製造できるとしているが、かなり甘い見積もりだ。それに、あの会社が公募で集めた資金はまだ10億ドルに満たない。完成の見込み? 私には分からない」

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